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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
241/783

コード“喰”1

それから暫くして、五月半ばを過ぎ一時は世論を二分する程のロボット談義は鎮火して騒がれなくなり平和な時が戻りつつあった。翔が何とかバイトを見つけてコンビニ店員で頑張る中で家で黒鴉は爪の手入れをしながら飽き性な世間を嗤う。

「あー、くっだらない。半月よ?半月で話題は新しい食とやらに持ってかれちゃったわ」

「似非異世界食…ですね」

黒姫はテレビに映る食レポ特集を眺めて呟く。

「似非ってとこが気に入らないわ!ただの創作レシピじゃない!」

コックはいたって普通の地球人で食材も地球産、謳い文句は『異世界の味を地球で再現!』。流れるテロップに黒姫は苦笑いしてしまう。

「うちの会社が表舞台に出たら一気に世間は異世界ムーブですよ、本当は異世界で地球のレシピで食の革命なのに…」

「現実知らなきゃそんなもんよ、どっかの国風なんて言って昔から起きる定期的な関心寄せの金のなる…」

黒鴉は爪の手入れをピタリと止め『金のなる木』と頭の中で思考してハッとする。

「本物ぶつけてやればいいんじゃないかしら!?二番煎じだろうが本場の味よ!?」

黒姫はドン引きして反論しようとする。

「姉さん、本場は地球の味に満足するってことは私達に取っては美味しくな…」

言い掛けた所で黒鴉は首を横に振って喚く。

「分かってないわ!一般人なんて目新しさが大事なのよ!」

「コンテンツの消費激しくして定着諦める焼き畑農業的思考ですね…」

「金になりゃぁいいのよ!」

駄目ですと黒姫が強く念押しすると玉藻前がひょっこり顔を出して提案する。

「日本人には日本風で古風なウチのところの食がええんとちゃうか?」

黒姫がアレはアレで古すぎるとツッコミしようとするが黒鴉がやるやると乗り気で声をあげる。

「古き良きお袋の味ね!」

「せやせや!」

黒姫はノンストップで突っ走ろうとする二人を止めようと資金と店舗と営業許可証と叫ぶ。

「…そんなもんゴーストキッチンよ!今の時代は出前よ出前」

「風情もなにも…もう無茶苦茶ですよ…」

玉藻前が何やそれと首を傾げて黒姫が説明する。

「レストランという体ではなく出前…使うのは共同の調理施設のみで食事配送して提供するのをゴーストキッチンと言います」

「…地球でやっとったら他と変わらんやん!」

玉藻前の言葉に黒鴉がピタッと止まってニヤリとする。

「いーこと言った!それよ!」

「姉さん…まさか」

「今一瞬で全部解決するスペシャルな意見が出たわ!そうよ異世界使えばいいのよ!店舗もっ!食材もっ!営業許可も要らないわ!」

玉藻前が感嘆の声を上げて黒姫はやっちゃったと顔を手で覆う。ノリノリな様子で二人はいざ行かんと手を掲げて物置に向かおうとする。黒鴉は忘れてたと黒姫に指示を出す。

「店舗の入り口になりそうな格安物件探しといて、神田に言えば二人で楽勝でしょ?」

勝手な事をと呆れるが止まらないと分かって黒姫は携帯で神華と連絡を取るのだった。


まずはと黒鴉は葛之葉の所へ来て交渉を始める。神斎は茶々入れながら話に参加する。

「異文化交流の一環で異世界食堂をやろうと思うんだけどどうかしら?」

場所や食材は異世界持ちと聞いて神斎が噛みつく。

「どう…って何考えてんだよ、人間を呼び込むつもりか?こっちからしたら食材はお前らだよ?」

「サービス業位覚えなさいよ、鬼や妖怪がみんな人好んで食べるわけじゃないでしょ?」

「黒鴉ってホント危機感無いね!企画通すなら別にウチじゃなくてもいいじゃん!」

葛之葉は神斎の頭を軽く拳骨を当てて黒鴉に微笑む。

「料理が皆さんのお口に合うか分かりませんが協力はしますよ?」

「母さん!報酬が定まってないのに乗るのはダメだって」

報酬について黒鴉はマネーと指で輪を作る。

「地球の金貰っても困るんだけど」

「でも地球に来てお金で消費できるじゃない?」

「行かないって…」

神斎が手を振ってないないとするが葛之葉がニコニコして文明の利器が買えると喜びながら色々と買いたい器具を列挙する。

「電子レンジとか電気コンロ、あ!冷蔵庫も欲しいわ」

神斎が楽観的な話をする母に尋ねる。

「で、電気は…」

「あら?発電機があるのでしょ?」

協力は得られそうだったが葛之葉の願いに黒鴉は頷くが幾ら必要なのか悩み考えるのだった。

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