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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“斎”4

神藤ビル近くの駅前広場、実家近くの駅前と違い広さも行き交う人の数も段違いで活気に溢れている。

翔は学生時代に何度か使用していたが休日の利用は初めてで圧倒される。

「人居るなぁ…どの辺りで待機するかな」

周囲に座れる所は無いか確認するもそういう所は全部あらゆる形で塞がれていた。

「うーん、刺々しいな…」

「ホームレス対策ですね…どこかカフェにでも入りますか?」

黒姫の言葉を置いて翔はキョロキョロと見渡す。ピリピリした空気を漂わせている人が目に入り鋭い目付きになる。

「ニュースの影響って訳じゃないんだと思うが覚醒者達があちこちにいるな」

「え、分かるんですか?」

翔が数ヶ所指を差して説明する。

「例えばあの男性グループ、インカム着けてずっと気を張ってる、端から見て買い物客じゃないよな」

「話してみます?」

張り込みの邪魔になると翔は黒姫をすぐに止める。

「止めておこう、覚醒者の集いなら黒鴉がちらついて…」

翔は言い訳をしながら時計を確認してここからは移動しようと決める。

「他の駅…実家の方の何時もの場所行こうか」

慣れたところの方が気が楽だと呆けた提案に黒姫はニコッとする。

「なら翔君の実家に顔見せ行きましょう」

「えぇー!」

独り立ちしてから連絡もあまり取っていなかった負い目もあり正直行きたくないと思っていた。

「今行かなきゃずっと行かなくなりますよ?」

「わ、分かったよ…」

黒姫の説得で翔は荷が重いと肩を落としながら緊張した面持ちで実家を目指すことになる。


実家を前にしてどうやって家に入ればいいのかと翔は頭を抱える。

「もう、普通に入りますよ」

「ええ!?」

覚悟を決めてくださいと黒姫が普通にガチャっと中に入っていき翔も急いで後に続く。

「あら翔、黒姫ちゃんお帰り」

ニコニコの浜松両親に目の下にクマのある神鳴がいた。

「ただいま…なんで神鳴いるんだよ」

「姉さんとこに居づらくってね…」

何か悟った目でぼやく神鳴、結構深い仲のようで両親と仲良く話していた。

「じゃあ私寝る…疲れた」

うつらうつらと船を漕いでいた神鳴は二人に手を振って以前黒姫が使っていた客間に入って行った。

入れ替わるように玉藻前が物置から現れる。

「おはー…げ!」

玉藻前が翔と黒姫を見て明らかに嫌そうな顔をする。

「お前なぁ気軽に家に出入りしてたのか」

「しゃあないやろ神斎がめちゃ機嫌悪くて居づらいんやもん」

物置が相変わらず異世界への扉なのに呆れながら黒姫が元気な玉藻前に安心する。

「ちゃんと復活出来て良かったですね」

異世界と両親を近づけるなと翔は文句を言いそうになるが母親に咎められる。

「神鳴ちゃんも玉ちゃんも家族同然なのよ?玉ちゃんのお母さんとも話してるし」

「俺の知らないところでそんな話が!?」

玉藻前は匿われる事にホッと一安心して二人に近況を尋ねる。

「んで、二人はどんな様子なん?」

父も母も二人の生活が気になっているようだった。

「変な魔物が出てるからちょっとパトロールを…」

翔は察しが悪いのか見当違いな答えを言う。玉藻前が口をあんぐり開けてツッコミする。

「ちゃうちゃう、いつ式挙げるんやって話!」

呆気に取られる翔と少し顔を赤らめる黒姫に母親が補足する。

「きっと六月よ?こっちじゃそういう季節なの」

「そうなんか、無茶な戦いは他の人に任せりゃええのに」

玉藻前の言葉に父が同意する。

「そうだぞ翔、怪我して挙式出来なかったら神藤さん家の面目を潰すことになるんだぞ」

「あなた、面目より身を案じなさいよ」

両親の漫談に翔も黒姫も苦笑いして両親の様子に安堵する。

「まぁ皆が元気そうで良かったよ」

「そうですね、私達なら大丈夫ですから」

二人がペコッと頭を下げて逃げるように家を出ようとすると玉藻前が付いてくる。

「どうせそう言いながら魔物探すんやろ?ウチも手伝うで」

「病み上がりで無理するなよな…」

言っても聞かなそうな玉藻前の元気な様に二人は仕方なく連れて街に向かう事にするのだった。

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