コード“送”10
翌日の朝から作戦室を利用して上映会のさながらで極秘情報の垂れ流しを行う。
「何て言うかコンプラとかリスクヘッジだとかかなぐり捨ててるよな」
翔が白目になりながら一度見た映像を見直していると隣に黒姫が座り概ね同意してくる。
「でもこういうのって情報流れても嘘として処理されますからね」
欠伸をしながらホットコーヒー片手に黒鴉が現れて黒姫の言葉を笑う。
「愚民ね…ま、そういうモノかしら?コレを公開するって大役やる荻原も大変ね」
「無理だろ?ただの映像作品で終わるぞ?」
「ほんとね、いえ、そうするのが私達の仕事じゃなくて?」
黒鴉の正論に翔はその通りだと再認識して真面目に改めて映像に集中することにする。
神華が目の下にクマを作ってこれが後数時間続くことを伝えてくる。
「容量なめてた…あの後朝陽昇るまで続くとは思わなかったわ…」
「ご苦労様、録画は?」
「コレからサーバにあげておきます…あ、でも編集とかしないと…」
神華は疲れきった様子で作戦室を出ていく。
「大丈夫でしょうか?」
「神だから大丈夫大丈夫」
翔が心の中で流石に神でも不眠はキツいだろとツッコミ苦笑いする。
丁度新兵器についての映像に合わせて呼んでいなかったはずの神楽と神鳴がひょっこり姿を見せる。
「コレが新兵器ね…凄いの?」
「映像だけじゃあ分からないわね」
二人の登場に黒鴉がなんで居るのよと言いたげに視線を向ける。
「一応神威に呼ばれたからね」
神楽がウインクして先手を打つと神鳴も親指立てる。
「付き添い」
「狐やアキトはどうしたのよ」
「茶しばいてる」
ラウンジまでは来ていると聞いて黒姫が見に来るべきではないかと疑問に思うが神楽が笑ってムリムリと手を振る。
「少なくともアキトは勉強熱心じゃないし興味無いと思うわよ?」
「タマちゃんもそういうの興味無いからね…あ、私も興味無いわよ?」
あっけらかんとする二人になんで来たんだよという疑問がモリモリ湧いてツッコミを我慢する翔がプルプルしだす。
「翔も頭でっかちなヤツは苦手でしょ?」
「そういうの私達に任せて休んだ方がいいわよ?」
翔は科学者じゃないからなと開き直って不機嫌そうに仕事をしに席を立つ。
「あ、翔君…先生も神鳴も酷いですよ?」
「不要な知識は付けない方が良いものよ?ほら二人とも無理せず遊んできなさいな」
黒鴉が「子供扱いね」とご立腹だが理解不能なのは事実とため息をつく。
「はぁ…要約したデータ見ればいいか…私も仕事しよ」
「姉さんまで…確かに退屈ですけど」
黒鴉が妹の退屈の一言に「でしょ?」とぼやいて去っていく。神鳴が残った黒姫に笑顔を向ける。
「適材適所、黒姫も好きなことすればいいと思うわよ?」
「好きなこと…」
自分は何をすべきか黒姫は悩み結局映像をしっかりと見ることにするのだった。
ラウンジで休憩しているアキトと玉藻前はコーラとお茶を飲みながら雑談していた。
「なんや、アキトは行かんのか?」
「神楽に任せてる。俺はもっぱら肉体労働だからな…そっちは何で居るんだよ」
「暇やから、家に居てもしゃあないやろ?アキトはどうなん?」
アキトはゲラゲラと笑って「そっちと同じだ」と答える。
「最近こっちは平和だからな、どうやら向こうさんは地球にロックオンしていやがる」
「なんでやろなぁ、最初はどこもかしこも攻撃しれたんやろ?」
玉藻前の疑問にアキトも明確な答えが出せないでいたが眉間にシワを寄せて玉藻前を睨む。
「…環境かもな。自分にとって今より良い環境が無ければ一番近い環境を人は選ぶだろう?」
「せやろか?せやな…ウチも人の事言えんか…」
環境や友人の有無で生活環境を選んでいる自分を振り返り玉藻前は納得する。
「でもまぁ正直俺には半分以上関係無い話だからなぁ…」
「無責任やなぁ、友達とか仲間とかあらへんのか?」
「それは翔の役目だろうが…」
あくまでも自分は裏方とアキトは首を横に振って外を眺める。
「ま、今此処に敵が来たら頑張るけどなー」
アキトは木刀を手に取り軽く掲げて見せる。
「やめーや!ほんまに来たらどないすんねん」
二人は笑いあって冗談をし合うのだった。




