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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“麗”9

神威がヨロズの部屋を訪ねる。

「ヨロズ君、いるかね?我だよー」

軽い調子で神威が扉をノックをするとゆっくりと少しだけ扉を開いて神威の笑顔を見てため息をつく。

「はぁ、何笑っているのか…他に誰か居る?」

「いや?我だけだが?」

ヨロズが素早く神威を部屋に入れて扉を閉めて眉間に皺を寄せる。

「やれやれ、ワタシについて聞いていないのか?」

神威は首を横に振るとヨロズは呆れた様子で額を押さえる。

「マークが戻るまで誰とも会うつもり無かったのだが…」

「ふむ?何故?」

神威が首を傾げるとヨロズが疲れた様子で自分の置かれている状況を説明して神威が目を丸くして話を聞いて答える。

「裏切り者か…まぁ生きてるし黒鴉嬢が許してるなら我が特に言うことはない」

ケロッと受け入れる神威にヨロズは再度呆れて警戒心の無さを嘆く。

「君は本当に人に興味が無いのかね…」

「酷いな、我は心を入れ換えたのだぞ?現に皆のために新兵器をだな!」

新兵器と聞いてヨロズは細い糸目を開いて興味を示す。

「ふっふっふ、良い反応!それが見たかったぞ!」

得意気に神威は自家製の箱を取り出す。

「…テレボックス?色が違うな、なんだそれは?」

「我がそちらのを解析、製造したのだ!」

「解析出来たのか?!」

予想外の話にヨロズは大きな声を出してしまう。

「…あー、全てではないが…ある程度ならー」

目を泳がせながら神威が答えるとやっぱりと言いたげにため息をつかれて気まずい空気になり神威が誤魔化すように箱を指差して言う。

「ちゃ、ちゃんと新機能もあるのだぞ!?」

「新機能だと?」

ヨロズは怪訝な顔をして箱を睨む。神威は胸を張って宣言する。

「そう、新機能!その名も…コード“麗”!」

ピカッと箱が反応して地図が壁に投影される。ヨロズは投影された地図に目もくれずにこめかみをピクピクとさせてニコッと笑う。

「ほ…ほう、それでなぜそんなネーミングなのかな?」

「む!?華麗に敵を看破する素晴らしい機能だろう?華は既にあるから麗の字だ!…そういえば君の名前も麗だったな!はっはっは!」

ブチッと音が聞こえた気がしてヨロズのビンタが炸裂する。小気味良い音が響き神威はキョトンとする。

「痛いではないか!」

「…やはり神に人の心は分からないか、出ていけ」

ヨロズの剣幕に圧されてながらも「何故だ」と神威は抗議しながら部屋を追い出される。

部屋を出るとツムギが笑いを堪えて呆然とする神威の肩を叩く。

「キツイ一発貰ったみたいだねぇ…」

「…我何かやっちゃった感じ?」

半泣きの神威にツムギが神威の手の箱を指差して伝える。

「流石にネーミングセンスがねぇ…ヨロズ博士だって女性なんだし」

乙女心を説かれて神威が頭を抱える。

「そ、そういう意図は無かったのだが!我の技術に意見欲しかったのだが…」

「あ、ダメだぁ…分かってないや」

朴念仁な神威にツムギが呆れて諦める。しかし神威は分かってないと言われて探求心に火が着く。

「我の!何が!分かって!いないと!言うのか!」

自室前で騒がれてヨロズは部屋の扉をぶん殴りドンと大きな音が鳴って二人が静まる。

「良くないねぇ…ラウンジで話そうか」

神威もツムギもとぼとぼと移動するのだった。


翔達から逃げ出したクラウスはファミレスでマークと食事を取りながら愚痴を溢していた。

「全く敵意剥き出しで困ったものだよ…クロアちゃん抜け目無かったし…」

「はぁ…クラウス殿は別に彼等を使わずともよいのでは?」

マークの言葉にクラウスはニヤリとして答える。

「だって可愛こちゃんとは仲良くしたいじゃん?」

軽い言動にマークは頭を抱え「仲良く出来るわけ無い」と叫ぼうとする自分を抑えて一言だけ伝える。

「止めましょう」

「えー!ヨロズちゃんの事置いてきちゃって…報告じゃ人質にどっか行ったみたいだけどさ」

「…は?ヨロズ博士を…なんですと?」

不吉な予感を感じたマークは周囲をキョロキョロ不安そうに見渡してクラウスに聞き返すとクラウスはヘラヘラと答える。

「援軍呼ばれてヤバいと思って置き去りにして逃げちゃった」

頭が真っ白になったマークはまた聞く。

「…結局ヨロズ博士はどうなったって?」

「だから…どっか行った」

「何度も派閥を行き来し私も立場が危ういのだが…いや、信用など元から無いが…」

マークの懸念を聞いたクラウスがゲラゲラ笑う。

「使えるスパイお前しか居ないし詭弁使ってでも生き残ってくれよ?」

「他人事だと思って…」

頭が茹でダコのように赤く煙が上がりそうになるマークは何とか深呼吸して落ち着かせて料金をテーブルに叩き付けて席を立つ。

「頑張ってくれよ?スキンヘッド君」

マークはクラウスに聞こえないように舌打ちして帰路につくのだった。

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