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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
155/783

コード“麗”5

博士達に呼び出された黒鴉は不機嫌そうに挨拶をしてドカッと何時もは神威が使っている司令が使うデスクに着く。

「で、何があったのよ?」

ヨロズがため息混じりに報告を行う。

「ボランティア達が少々文句を言っているようで…」

手に持ったタブレットで動画を流し黒鴉に見せる。

映像の中では自分達の仕事や現在の環境を高らかに批判するガラの悪そうな人達がただただ騒ぐ下らない動画だった。

「何このバカっぽい主張…」

「…すまない、改善案を伝えて抑えるのに手伝ってもらいたい」

付き合ってられないと嫌な顔をする黒鴉は首を横に振るがヨロズに黒鴉の必要性を力説される。

「黒鴉、君の…君からの説明が必要なのだ。彼らを説得するには確証が必要だ」

「…こうも阿保っぽいのは相手するの疲れるし嫌なのよね」

面倒臭いと一蹴するがヨロズは翔を引き合いに出す。

「Kにはよく関わるのにか?」

「それ浜松が阿保っぽいってこと?…怒られるわよ?」

黒鴉は笑ってヨロズの失言を流して席を立つ。

「神田が居たら押し付けるのに…仕方ないわね、浜松連れて行こうかしら?阿呆には阿呆を…」

冗談めいた言い方をし、ヨロズは苦笑いして答える。

「それしたら真面目な話にならないぞ…?」

「あはは、確かに」

黒鴉は笑ってみるが気が重くなってため息をつく。

「ほんと面倒よね…移民対策に頭抱える理由が理解できたわ」

「申し訳ない…」

言葉通り頭を下げるヨロズに黒鴉は気にしないよう言って用意すると部屋に戻ることにする。

「本当にすまない、先にフロントで待っている」

「アンタも大変ね…」

謝るヨロズに中間管理職な神華の気苦労を思い出して黒鴉が同情する。

数分後、鞄片手に黒鴉がフロントにやってくる。

「本当に二人で行くのね、暴動起きたらどうする気?」

「ふふ、黒鴉嬢はワタシはこう見えて武闘派よ?」

ヨロズがシュシュっと素早くジャブをして得意気な顔をする。

「そう…って!多対一で格闘で勝てるのかしら?」

黒鴉の疑問にヨロズは自信満々に答える。

「妹に今度聞きたまえ、ワタシの武勇伝を!」

「いや、うん…今の私の不安は拭えない訳ね」

雑談をしている内に装甲車がやってきて黒鴉は風情の無さを嘆きながら乗り込む。


集合住宅街、ボランティア達が生活する環境を黒鴉は眺めながら鞄から書類を取り出して確認する。

「参ったわね…ポストに投函して頒布するならもっと資料印刷すべきよね…」

自分の考えの甘さを後悔しながらヨロズと一緒にキョロキョロして管理事務所を目指す。

道中すれ違う何人かの人の好奇な目で見られて黒鴉は機嫌が悪くなる。

「皆のために頑張ってるのに…なーんで私が変な目で見られるのよ…」

「そりゃ一般的に黒鴉嬢が来ることは知られてないから…」

事務所について中に入り待っていた代表達を前にして黒鴉は営業モードに切り替えて新しい事業の説明をする。

会議で話した内容を書類を配って伝えると複数人に気難しそうな顔をされてヨロズが汗を流しながら黒鴉を怒らせないように補足をする。

数十分の説得に近い黒鴉の説明を終えて結論を述べる。

「ですので、仕事についての自由度を上げる為にある程度の基準を設けます。基準については資料に記載しておりますので各自わが社の評価を受けてください」

ざわつく人達の有無は聞かずに後はヨロズに任せたと黒鴉は不遜な態度に戻る。

「正直言えば管理の手間が増えるから神藤財閥管轄の仕事斡旋で済ませたいのよね…それすら不満と言われてるから仕方なくよ?」

「黒鴉嬢…それは…」

営業モードじゃなくなった黒鴉にヨロズが苦言を呈そうとする。しかし、黒鴉は更に続ける。

「今の給与だって搾りに搾ってる訳じゃないはずよ?神田に任せてるけど…昇給直談判するなら要相談よ。話の持ち込みはこっちの博士に頼みなさい」

黒鴉に指差されてヨロズは面倒臭いことになるのを覚悟して頷くのだった。

その後、黒鴉は鞄の中をがさごそと書類を全て机に置いて「以上」と話を切り上げる。

「いつでも相談しなさい、文句はその後よ!良いわね!?」

黒鴉はそう言い放ってヨロズを連れて事務所を出て伸びをする。

そんな黒鴉の前に神華に撃退されたはずのクラウスが現れて黒鴉を呼び止める。

「やぁ、マザー」

「…アンタの母親になったつもりは無いわよ?…何者よ?」

黒鴉はクラウスの他との雰囲気の違いに眉間に皺を寄せて睨む。

「ハァイ黒鴉ちゃん。俺様はクラウス、ヨロシクね」

「…クラウスですって!?ヨロズ!離れて!」

名前を聞いて黒鴉は剣を取り出そうとする。しかし、黒鴉が動く前にヨロズに背後から腕を固められてそのまま地面に倒される。

「ごめんなさいね」

「…ッ!?」

動けなくなった黒鴉は驚き歯を食い縛りしたり顔のクラウスを睨むのだった。

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