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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
151/783

コード“麗”1

戦闘を終えた昼過ぎ、研究所の自室で翔は無気力な表情で仕事をしているとノックの音が聞こえてきてボケッとした様子で扉に向かうと黒姫が申し訳なさそうに立っていた。

「どうしたんだ?」

黒姫の様子に心配するように翔は声をかけて廊下の外を確認して中に招く。

部屋に入るなり黒姫が頭を下げる。

「すみません…」

言葉が詰まったのか謝るだけでその先が出ない黒姫を落ち着けようとベッドに座らせて自分は机の椅子に座る。

「私、何て言えば…姉さんに聞かれて…その」

左頬を押さえて何があったのか察した翔は無理に話さなくていいと伝える。

「無理に言葉にしなくていい、落ち着くまでゆっくりしていけ」

翔は追及せずに作業を再開しようとするが集中出来ずに頭を抱える。

(無理!気になる!作業できねぇ!)

助け船なのかノックも無く黒鴉が入ってくる。

「浜松!…あらなんで不肖の妹がいるのかしら?」

姉の言葉に黒姫が俯いて反論もなく黙ってしまう。

黒鴉は妹を無視して翔の座る椅子を回して鼻を鳴らす。

「な、なんか用か?」

「妹の顔見たら暴露話したくなったわ」

黒鴉は俯く妹を一瞥して勝手に話を始める。

「この子もう一人のアンタの方がいいんだってさ」

「違います!」

黒姫が叫び立ち上がるが黒鴉が言葉を重ねて浴びせる。

「同じよ、アンタはあっちがオリジナルだと感じたんでしょ?こっちが本物だって確信が揺らいだんでしょ!?」

それを聞いて翔は明らかにショックを受けたようで感じていた不安の正体に気付く。

「そうか、一度死んだようなものだもんな…」

落ち込む翔の頭に黒鴉がチョップをかまして胸を張る。

「なによ、アンタまで辛気臭くなる必要無いでしょ?自分は偽物だって言いたいの?」

「…それは、俺は本物だと言いたいさ」

「黒姫、聞いた?疑ったり疑問に思っちゃ駄目なのよ!あなたの大切な人でしょ?」

黒鴉が言いたいことを伝えると一息を入れて妹を人差し指でつつく。

「私…私が願ったから…世界再編を望んだから…だから翔君が犠牲になって…」

「ここに今いるでしょ!見なさいよ!」

激しく怒り黒鴉は黒姫の胸ぐらを掴み叫ぶ。

「あなたが救った大事な人よ!?」

「私が救った…?」

「違うなんて言わないでよ?じゃないと…」

黒鴉は殺意に近いオーラを放ち脅すように妹の背中を叩いて翔にぶつける。

「アンタらの空気悪いと私も気分が悪くなるわ、さっさと和解なさい」

「黒鴉…すまんな気にさせちまって」

「私はただ…張り合いなくなるの嫌だし…あー!何やってんだろう!帰る!」

顔を真っ赤にして黒鴉は部屋を出ていってしまう。

「ごめんなさい、私…迷ってしまっていました」

「…突き付けられると不安になる話だからさ、俺も向き合わないと」

翔はそう言いながらも敵になると宣言した亜紀人との今後の事を思いため息をつくのだった。


翔の部屋を飛び出して自室に戻った黒鴉はベッドに飛び込み自分でやった行動に恥ずかしくなり枕に顔を暫く埋めてベッドをバンバン叩く。

(なんであんなに熱くなったのかしら!ムカつくわ!)

黒鴉が悶えているとノックの音がする。

正気に戻った黒鴉は恐る恐る扉を開けるとヨロズが呆れた様子で立っていた。

「ヨロズ博士?…何か?」

黒鴉は不機嫌そうに質問するとヨロズは書類を差し出す。

「落ち着いたら確認して、ちょっと野暮用の要約」

「野暮用?…まぁ読んでおくわ。えっと…」

ヨロズはそのまま作戦室に戻っていってしまい詳しく聞こうとした黒鴉は何度目かのため息をつく。

「ボランティアの待遇改善要望…?」

ヨロズの部下や以前捕らえた敵に与えている環境についての要望書だった。

(改善ねぇ…増えすぎてキツいのよね…どうしよう)

流石に一人ではどうにも出来ないと神華に相談することにする黒鴉だった。

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