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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“或”11

一人別行動していた神華は目当ての自衛隊の拠点を見つけて挨拶に出向く。

「すみません、神藤の者ですが…」

神藤の名前を出すとすぐに上官が現れて恭しく一礼する。神華も一礼して用件を伝える。

「スペシャリストを待機させております。状況の共有お願いします」

迷彩服姿の壮年の男性は申し訳なさそうに説明を行う。

「詳細は我々にも理解出来ないものが多くてな…ただ一定の範囲に入ると突然皆消滅するように…いや消滅しているのかもしれない。無線も届かなくてな」

無線も使えないとジェスチャーして首を横に振る。

「何か他に試した事はありますか?」

「そうだ、情報収集の為に飛んだヘリが何かに吸われる様だったと報告して撤退したな」

不穏な話しに神華は頷き納得したように黒鴉へ報告を行う。


「そう、ありがとう…大体予想通りといった所ね」

報告を聞いた黒鴉は翔達に伝達してどう攻めるかの案を募る。

「浜松、箱持ってきてる?」

「箱か?…ああ、ほれ」

亜紀人は質問されて箱を見せる。

「能力の相殺って可能だと思う?」

亜紀人は「その発想は無かった」と目を丸くして驚く。

「…マジ?アンタも迂闊な所あるのね…コードは…鳴り?」

訓読みする黒鴉に全員が音読みじゃないか?と言って黒鴉は恥ずかしそうに顔を赤くする。

「うっさい!知ってるわよ!」

怒りながらも作戦は決まったと黒鴉は奮い起てて四人は作戦エリア内に進入を開始するのだった。


入る直前に亜紀人は自身の無効化能力の制限を受けないか不安になりながら起動する。

「行くぞ、コード“鳴”!相殺しろ!」

変化を感じられず黒鴉は怪訝な顔をする。

「行けば分かる、重力変化に注意しろ」

亜紀人の言葉通り突然翔達にずっしりと肩に重荷が乗ったような感覚がする。

「コレが重力操作!」

「…うぅ、キツいわね」

翔と黒鴉が呻いて黒姫が不思議そうに二人を見る。

「…黒姫アンタ平気なの?」

姉の言葉に困惑する。

「個人差があるんだろ?俺は平気だ」

亜紀人の言葉に黒鴉は悔しそうに「グギギ」と歯軋りして無理して背筋を伸ばして同じく苦しむ翔を見下す。

「こ、こんな状況でも意地を張るか!…負けられねぇ!」

翔と黒鴉は足取りが重いがずかずかと勇み歩き始める。

「ふ、二人ともそんな状態で危ないですよ!」

「そうだな、自衛隊も住民も…手遅れかもな」

最悪のケースを口にして亜紀人は翔達を追いかけて置いて行かれないように黒姫も走る。

動きの鈍った翔と黒鴉の前に魔物が出現して二人して最悪と既に疲弊した様子で武器を手に取る。

「…なんで奴ら元気なのよ?」

「効果の対象外なのかもな…」

重くなった武器に苦い表情で何とか構えようとする。

追い付いた亜紀人がやれやれと言った様子で魔物を瞬殺して動けなさそうな二人に無理するなとアドバイスをする。

「ちょ、丁度いい負荷ってやつだ…鍛練になる」

「そ、そうね…コレくらいどうってこと無いわよ!」

追い付いた黒姫が二人の後から声をかける。

「戦う前から鍛練で疲弊してどうするんですか…切り札っぽく振る舞ってください」

切り札と聞いて黒鴉は鼻を鳴らして調子づく。

「し、仕方ないわねぇ…私の出番までせいぜい頑張りなさい」

油断したのか武器をキーホルダーに戻して一息つく黒鴉はすぐにハッとして武器に戻せるか試す。

「良かったわ武器変化は出来るみたいね」

それを聞いて翔も武器を変化させて荷物を減らす。

亜紀人が焦る黒鴉をせせら笑う。

「そりゃ戻せるなら無効化されてないだろう」

「~ッ!ムカツクぅ!」

何故か黒鴉は隣の翔の足を軽く蹴る。

話の腰を折って黒姫が魔物の居ることに言及する。

「魔物が居るということはもう皆…」

「手遅れの可能性が高いな、事件の収拾をさっさとつかせよう」

お荷物な二人を気遣いながら一行は先に進むのだった。

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