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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
129/783

コード“鳴”9

時の加速した空間の中で混乱する街の人々の前に黒鴉が立ち声を上げる。

「皆!ここは危険だから移動しましょう!」

しかし人々は黒鴉の言葉に疑問の声をぶつけてくる。

「停電しただけで危険なのか?」

「というか誰だ?」

言うことを聞かない民衆に黒鴉は苛々して腕を震わせ癇癪を起こしそうになり我慢するように深呼吸する。

遠巻きに神鳴と神姫が怒り狂うと思っていて黒鴉の成長に感心する。

「私ならキレてたわね」

「神鳴は我慢を覚えましょう」

「流石に無礼なのは無理」

神鳴はざわめき戸惑う民衆に呆れて背を向けて残った紙袋を神姫に持たせる。

「何も起きないし先に帰ったら?はい、お土産」

「…黒鴉さんが皆を引っ張ろうとしてますしそろそろ敵が動くと思いますよ」

神姫の予想に神鳴は疑いの眼で周囲を見渡す。

民衆の勝手な下らない問答に痺れを切らした黒鴉が遂に叫び一喝する。

「いい加減にしなさい!私は神藤黒鴉!神藤財閥の長よ!言うことを聞きなさい!」

黒鴉は剣を取り出して掲げて見せる。

芝居がかったポージングに別の困惑が民衆に拡がるが神姫の予想通り黒鴉が目立つ名乗りをした所で排除するように魔物が湧き出して黒鴉は叫ぶ。

「走って逃げるのよ!あー、もう!最悪…」

人混みに向かって放水も出来ず黒鴉は剣でバッサリ自分の近くの魔物を切り捨てて人々の逃げ道を作る。

出番を待ってたと言わんばかりに神姫も魔物を攻撃して民衆の逃げ道を作る。

蜘蛛の子散らすように人が減っていく中で黒鴉に怪しい人物が近付き声をかける。

「黒鴉様!協力します!」

協力を申し出た女は箱を取り出して神姫の力で光の球飛ばし魔物を攻撃し始める。

「は?!アンタなにして…!どうせ魔物を呼び出したのアンタ達でしょ!?」

「我々も一枚岩では無いのです」

神姫はそんな状況を見て混乱しつつサッと物陰に隠れ様子を窺うことにする。

黒鴉は敵の寝返りを訝しみながら宣言する。

「取り敢えずコイツら撃退したら事情を聞かせて貰うわよ?」

「構いません!」

人が居なくなったのを確認した黒鴉がバハムートを呼び出して水流で一気に魔物を押し潰す。

魔物が出現しなくなったのを確認して黒鴉は武器を共闘相手に向ける。

「何者か…は聞かなくても良いわよね?何が狙いなの?」

武器を向けられても冷静に手を上げて説明をする。

神鳴が戦いが終わったのを見計らって黒鴉に合流しようとするが神姫に捕まり静かにするようにと言われ一緒に様子を窺う。

「我々は過激派なアルバートとは違い民衆を攻撃するつもりはありません」

「じゃあこの事象はそのアルバートって奴の?…ってかアンタは穏健派って言いたいの?」

アルバートの名前に隠れている神鳴と神姫が鋭い目付きになる。

「穏健派…とは言えませんが少なくとも私は…マザーAI派閥になります」

「マザー…AI?AIですって!?人口知能がボスしてるっていうの?」

唐突な話に黒鴉は剣を下げて目を丸くする。

「イエス、マザー…は人民の庇護をこの世界に求めます」

「庇護…って言われてもねぇ、私の一存で決まる話じゃ…」

黒鴉が事情を聞いて考え込む。

物陰に潜んでいた神鳴がビルの一つに注目して神姫に指差し伝える。

「ねぇ、あそこ…」

指示された場所を神姫は注視して敵の姿に気付く。

「ヤツが発生源?!…ワタシ行きます!」

敵にも黒鴉達に気付かれないように神鳴の支援で素早く駆け抜けて目標のビルに入っていく。

その後神鳴は不穏な気配を感じもう一度敵を確認する。

「…狙撃銃?!」

神鳴は狙いの先がどちらか分からないが走り出して黒鴉に向かって叫びながら手を翳す。

「スナイパー!」

「…は?」

黒鴉が気付いた時には銃声と共に神鳴が飛び出して黒鴉を突き飛ばして銃弾を直撃して片腕弾け飛んでいた。

「神鳴!」

「離れ…て…」

致命傷を受けて倒れた神鳴に近寄ろうとする黒鴉を協力者が止めて物陰に押し込まれ黒鴉が喚く。

「黒鴉様!動いては行けません!」

「でも!神鳴が!」

黒鴉は必死にもがくが再びの銃声と目の前に着弾するのを見て悔しそうに後退りする。

よく見ると既に神鳴は復活して吹き飛んだ腕も元通りになっているが動こうとせず黒鴉の方に目線を向け黒鴉にアイコンタクトを送る。

『私は大丈夫だから大人しく』

黒鴉はゆっくり頷いて大きく深呼吸して落ち着く。

ボンという音と男性の悲鳴がして狙撃手が落下してグシャっと鈍い音と鮮血が舞う。

男の死体から箱が黒鴉の方に転がってきてエグい状況に黒鴉は小さな悲鳴を上げる。

協力者が箱を神姫の力で破壊して場の空気感が変わり事件の終了を意味していた。

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