コード“偽”9
警察が回収した機械を黒鴉率いる博士含む研究員が確認して対応する。
「どっかの馬鹿が大暴れしたみたいね、さっさと正体調べちゃって…私この後久々に仕事だから」
黒鴉は誰がやったか大体理解していながら神威達に指示を出す。
「持ち帰って調べたい所だが…危険もあるか、致し方ない」
「僕らが使ってた箱と似た技術だと残すの危険だよねぇ」
神威もツムギも機械をノックしてため息をつく。
警察の調書を見てヨロズが不用意に触れる二人の襟首を掴む。
「住宅街に設置されてたなら以前のデカい神螺の力の体現かもしれん…下手に触るな馬鹿者」
「あー、それは困るなぁ…壊す?」
「…それでも博士か?短絡的過ぎるぞ」
ツムギは面倒臭いと吐き捨てて自身も調書を摘まんで眺める。
何かを考え観察するカスパーにヨロズは尋ねる。
「カスパー、君はどう思う?」
「あの大きな箱と違い別の目的がありそうだが…ふむ、操作できる箇所は少ないな…不用意に操作せずに解体して中身を確認した方が良さそうだが…」
「ネジやボルトは無さそうだな溶接と羽目殺しか…」
中身を見たくても今すぐには無理だとカスパーとヨロズが結論付けると神威が自慢げに舌を鳴らして指を振る。
「我がいる!開封なら任せたまえ!」
「偶には役に立つではないか」
ヨロズに茶々入れられて神威はガクッとするが気を取り直して鉱物操作を行い機械の中身を顕にさせる。
中には基盤と今までの箱とはまた違うものがあった。
「またこれかぁ」
ツムギが気だるそうに指差して黒鴉を見て指示を仰ぐ。
「どーする?取り外して持ち帰る?」
黒鴉は時計を確認して親指を下にして伝える。
「ぶっ壊す、正直調べる時間ないわ」
「めっちゃ個人的理由!…まぁ調べようがないかぁ」
黒鴉の指示を受けて取り外してを行ってから神威が鉄を集めて作ったハンマーで破壊する。
「基盤だけ持ち帰るか、さっきの箱が何かが分かるかもしれん」
「んじゃ後頼むわ」
黒鴉がそそくさと手荷物纏めて移動をするのを見送った研究員達は半ば呆れつつ基盤と残骸の一部を持ち帰り残りをゴミとして廃棄する事にするのだった。
都心部のとある撮影スタジオの前、黒鴉は久々の仕事で周防と再会してそれなりに嬉しそうにする。
「久しぶりあーちゃん!しっかり休めた?」
「渦中の人が休める訳ないでしょ!今朝もねぇ?…はぁ、まぁスタッフ含めて元気そうで良かったわ」
二人は軽く小突き合いをして微笑ましくやり取りをしていると護衛として着いていた翔と黒姫の視線に気付き黒鴉が咳払いする。
「物騒で心配だからってあの二人着いてきたのよ?テレビに出れるって思ってるのかしらね」
「本心から心配してくれてるんですよ、邪推は良くないですよ?」
言い訳の言葉を叱られ黒鴉は何故か翔を睨む。
睨まれた翔は少し気まずそうに呟く。
「余計なお世話だったか?でも神鳴から連絡あって敵が動いてるようだし…」
「翔君、姉さんのアレは照れ隠しだと思います」
どうせスタジオの中には入れないと翔は苦笑いして黒鴉を見送った後周囲を二人で散策しながら黒姫と話をする。
「今朝も早朝から敵の襲来があったらしいな…偶々神鳴ともう一人の俺が見かけて対処したようだが…他にも来てそうだと思ったんだが」
「聞きました。怪しい集団や怪しい機械、流石にすぐに見つかると思いますけど…」
間抜けな話に翔は鼻で笑う。
「それなら楽だ…流石にそう何度もバレバレな動きするとは思えないけどさ」
「ですよね、そういうのって囮だったり罠の可能性大きいですものね」
二人で笑いあっているが翔は冷や汗を流す。
「…それ有り得るな、朝のやつどうなったんだ…?」
「ツムギさん達に状況を聞いてみては?」
翔は携帯片手に嫌な予感を感じつつ連絡を試みる。
「何事も無ければいいんだが」
メッセージを投げておいて一息つく。
「姉さんの収録終わるまで時間ありますしどこか行きますか?」
「遊ぶ気満々だな?」
「いいじゃないですか、姉さんとは仲良くしてズルいですよ」
最近の翔と姉の行動を知って黒姫は嫉妬心を抱いて翔の腕を引く。
(まぁいいか、見たところ敵もいないし)
警戒を怠らないよう気を引き締めながら翔も黒姫との一時を楽しむ事にするのだった。




