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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
110/783

コード“偽”5

「はぁ、張り合いが無いな」

亜紀人は本調子ではない黒鴉に呆れ翔を睨む。

「何があったんだ?…じゃじゃ馬が俺に噛み付かないとは」

「まぁちょっと今朝の夢で感情拗らせてるんだよ」

夢と聞いて亜紀人は察して口を開く。

「あぁ、幸せな夢を見せられたらしいな…どんな夢でもいいじゃないか見れただけ」

翔は自分の夢の内容を掘り返されたようで苦笑いする。

「…浜松、そんな事はどうでもいいわ…同じ共通の敵を倒す為に協力しなさい」

黒鴉は雑談を押し退けて本題を切り出す。

しかし亜紀人は黒鴉を憐れむように見て拒否する。

「今のお前と組む気は無い」

亜紀人の『今の』という文言に黒鴉は歯を食い縛り聞き返す。

「何が…いえ、私がこんな調子だから…?」

翔も亜紀人も無言で黒鴉自身の答えを待つ。

黙り震える黒鴉を見て亜紀人は咳払いして席を立つ。

「どうするか決まったら呼んでくれ、それまで待っている」

また黒鴉と二人きりにされた翔は気まずそうに黒鴉の様子を見る。

「生まれて初めてよ…拒絶されるのが怖い…進めば関係が壊れるのに進めと言うの?」

泣き出しそうになり何度も言い訳する。

「だって…妹のもうすぐ旦那になる男よ?…そうよ、どうして私コイツに惹かれているのよ!」

黒鴉は顔を上げてチラッと翔を見てすぐに顔を赤くする。

「…今まで普通にしてたのに何でこうなるのよ?」

「俺に聞かれても…」

恋愛弱者過ぎる黒鴉に翔は困惑する。

「口に出せば妹から奪うし…」

「え?待って、俺の意思は!?」

「は?」

じっと睨み合う二人、すぐに黒鴉は何かを考え始める。

(え?何、意思?嫌われてるの?ならなんでさっさと言わないのよコイツ)

翔も黒鴉の言葉を思い返して考える。

(拒絶って黒姫にされるのが嫌なのか!告白も言わずに俺はもう受け入れてると思ってるのかコイツ)

二人の考えがまとまり黒鴉は疲れたように両手を上げ伸びをする。

「あー、馬鹿馬鹿しい、なんか勘違いしてたわ!」

黒鴉はゆっくり腕を下げて翔を見据えると突然理不尽にビンタする。翔は叩かれた頬に触れてポカンとする。

「え?何で叩かれたの?」

「…なんとなく…夢の中の馬鹿な男の代わりよ!」

「夢の俺何したんだよ…」

すっかり声色に元気が戻った黒鴉は立ち上がり深呼吸する。

「私は次期社長、私は神藤黒鴉!色恋に迷うなんてらしくないわ!」

「だからってビンタすんな!」

黒鴉はニコッといい笑顔をして翔の襟を引っ張り亜紀人の所へ向かう。


二階の元翔の自室に黒鴉が乗り込み胸を張って亜紀人と対峙する。

「待たせたわね!黒鴉ちゃん復活よ!」

掴まれっぱなしの翔が首が締まって苦しそうな声を出す。

「ぐぇ…引っ張るなって…」

「あら、ごめんなさいね」

パッと手を離して口とは別に悪びれもしないで亜紀人を睨むと鼻で笑われる。

「早かったな、もっと苦悩するかと思ったぞ」

「天上天下唯我独尊、欲しけりゃ奪ってでも…縛ってでも手に入れてやるわ!勿論アンタ達もね!」

自信満々な黒鴉の発言に真顔になった亜紀人は肩で息する翔を見て呆れ気味に聞く。

「…おい、俺…ホントにコイツ大丈夫か?」

「忘れたのか?黒鴉は元々こんな奴だ…」

亜紀人に同情するような視線を向けられて翔はため息をつく。

「更に酷くなった気がするぞ」

亜紀人は記憶を遡って苦笑いすると黒鴉は一歩力強く前に出て手を差し伸べる。

「さぁ!協力関係になりなさい!」

「竜司の件はいいのか?」

不敵に黒鴉は微笑む。

「決着は後日…そっちの方がいいでしょ?」

その言葉を聞いて亜紀人は一瞬目を丸くして意外そうにし、すぐに笑い返す。

「あくまでも敵…ライバルか、気に入った!」

黒鴉の手を取り亜紀人と協定を組むことになった。

神姫がこそっと部屋に入ってきて黒鴉に頭を下げると黒鴉が先に言葉だけで謝る。

「疑って追い出す真似して悪かったわね」

「先に謝られてしまいました…槍でも降るのでしょうか」

神姫は首を傾げて黒鴉を見つめる。

「失礼ね…まぁいいわ」

機嫌の良い黒鴉は話を終えると翔の襟をまた掴み引っ張る。

「よし、帰るわよ!」

「だから引っ張るなって…」

翔は文句を言いたげに不満顔をするが諦めて亜紀人達に手を振るのだった。

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