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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“竜”15

翔はラウンジに戻り黒鴉と他の研究員の様子を確認する。

寝息をスースーと建てて幸せそうな笑みを浮かべる黒鴉を見て命に別状は無いようで翔は安堵する。

(寝不足だったようだし寝かせてやるか…)

周りの朝食を取っていた研究員達もイビキをかいて順々に目を覚ましていく。

食事後に惨状を見せるのは酷だと起きた人達に軽く説明していく。

敵の襲撃があったなどと思いもしていなかったのか青ざめて皆いそいそとサンドイッチ片手に研究室に帰っていく。

最後に残った黒鴉も寝惚けながらゆっくりと体を起こして艶かしい声を出しながら伸びをしてため息をつく。

「起きたか、おはよう」

「あ、かけ…」

黒鴉は何かを言いかけて顔を赤くして睨む。

「…浜松、人の寝顔を見るとは趣味が悪いわね…」

「皆敵に寝かされて夢を見てたみたいだ、すまんな」

「そう…夢…」

憂鬱なように冷めた飲みかけの珈琲を見つめてまた深くため息をつく。

「んで、敵は?」

翔は窓の外を背中越しに親指で示すと黒鴉は外の惨状を見て嫌なモノを見た顔をする。

「悪趣味ね…アンタがやったの?」

「俺も寝ちまって…誰がやったかは…思い当たる節はあるけどさ」

「そう、暫く一人にして欲しいわ…」

黄昏るように切ない目をして黒鴉は翔から目を逸らす。

「そうだな、掃除とかしないとだしな…」

「ええ、手配お願いするわ…」

翔は作戦室まで向かい掃除の手配を神華に頼もうとした。

しかし、研究所内は思っていた以上に殺伐とした状況になって皆気まずそうに顔を合わせられないような様子だった。

「あー、おはようK、なーんか皆変な感じなんだよ」

ツムギがどぎまぎする面々を指差して呆れたように話しかけてくる。

「敵の襲撃で皆変な夢を見たんじゃないかな…俺も」

恥ずかしい夢を思い出して翔は苦笑いする。

「へぇ、襲撃なんかあったの?その様子だと解決済み?みたいだね…あ!ちなみに僕の見た夢は美味しそうなご飯一杯食べる夢、味しなかったけどね!Kは?」

不満そうに言うと翔の夢を聞こうとしてくる。

「俺は…結婚した後の平和な生活…」

「いいね、皆良い夢見たんじゃない?僕は不満あるけどぉ!」

食への執着が強いのかツムギは悔しそうな叫びを上げる。

翔は雑談に色を添えている場合じゃないと我に返り、何時も以上にカスパーとイチャイチャしている神華に声をかける。

「浜松?どうしたの?」

「研究所の玄関口に敵の死体転がってるから掃除の手配を…」

嫌な顔をするが黒鴉の指示と伝えると仕方なさそうに携帯でどこかへ連絡をする。

敵襲の報告を聞いて神威は首を押さえながら翔に謝る。

「不甲斐ない…我も眠ってしまうとは…」

「…常駐してたんだな」

「我の世界は別に我がいなくても回る故…むう、寝方が悪く首が痛い…」

寝違えた首を気にしながら困り顔になる。

「全員寝ていたのだろう…どう対策するか…」

神威は自席に戻りながら小声でぶつぶつ呟く。

ヨロズが面倒臭そうにそれについていき二人で話し合っているのを見て翔は黒姫の様子を見に行くことにする。

部屋の前まで来て夢の内容を思い出して顔から火が出る思いをしながらノックする。

ガタガタと音と黒姫の返事が聞こえてきて翔は扉が開くのを待つ。

ゆっくりこっそり扉が開き黒姫は翔を見て恥ずかしそうに迎え入れる。

「翔君…ど、どうぞ」

部屋に入ると黒姫は部屋に鍵をかける。

「…黒姫さん?今カチリと嫌な音が…」

嫌な汗が吹き出て恐る恐る尋ねるが答えは無く黒姫はジッと翔を見つめる。

「…あー、お前変な夢を見たな?」

他の人達の話を元に黒姫への質問内容を変えると黒姫は薄ら笑いをして翔に近寄り抱き付く。

「翔君…変な夢だなんて…少し嫉妬心が芽生える程度ですよ?」

「…俺そんな目移りするような男じゃないぞ!?」

黒姫は深呼吸して名残惜しそうに翔から離れる。

「翔君はどんな夢を?」

黒姫のどす黒い雰囲気に嘘や誤魔化しは効かないと考えて頬を掻きながら素直に話す。

「平和な日々でお前との新婚生活…自分で言ってて恥ずかしいな!」

翔の言葉に黒姫はニコニコになって鍵を外して扉を開けると悔しそうな顔をした黒鴉と目が合い全員が気まずそうになる。

「…姉さん」

「何憐れみの目を向けてるのよ…」

「向けてないですよ?!」

やさぐれる黒鴉を必死にフォローしようとするが「気にしなくていい」と投げやりに作戦室の方へ去っていく。

「姉さんは一体どんな夢を見たのでしょう…」

「聞いたら殴られそうだ…」


黒鴉は作戦室の高い位置の席から下を頬杖しながら眺めて深いため息をつくのだった。

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