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自転車乗りと猫

「コレハトモダチカラキイタハナシナンダケドサ……」


なんで、イントネーションがない棒読みなの? 最近のスマートスピーカー(AI音声認識スピーカー)ですら、もっと抑揚よくようある会話をしてくるぞ。とはいえヒロトがスマホに向かって話しかけている可能性も否定出来なくもない。ここは様子を見よう。


「コンナコトガアッタンダヨ」


「俺の目を見ながらその口調やめろ‼︎ 俺はOK Googleじゃないよ」


流石にこの喋り方が疲れたのか?ヒロトはあごのあたりを手で数回さすり、一呼吸おいて普通に喋り出した。



「この前さ、歩道のない道路の左側を自転車で走っていたら、いきなり猫が右から横切ってきたんだよ」


「手をあげて?」


「それ昨日(9話)の話だよ‼︎」


「ごめんごめん。ボケにはボケで返そうと」


「……それでたまたま車が来なかったんで、猫は道路を渡れると思ったんだろうな」


俺の返しが昨日の話を絡め絶妙だったのか?特にリアクションをせずに、ヒロトはそのまま話題を続けた。仕方ないので俺の方が折れ、ボケはなかったのかのように話に乗っかった。



「猫がそんな確認をするか?」


「少なくとも、ダッシュ中の道路の真ん中辺りで側道を走っている俺と目があった。つまり相手ねこにとって俺は認識されていたことになる」


「マジかぁ〜」


「ところが、それでもスピードを緩めないどころか猛スピードで渡るんだよ。そしてその渡りきるタイミングが俺とぶつかるタイミングなんだよ」


「危ないなぁ〜」


「俺に対して『そこをどけ』と目で挑発しているんだよ」


「そうかなぁ〜」


「なめられているんだよ……猫だけに」


「……」


「もう、これは絶対に絶対に負けられない戦いなんだよ」


「なにムキになっているんだよ。負けてもいいやん」


「どっちが先にブレーキを踏むか? そういうチキンレースなんだよ……猫だけど」


「いや、猫にブレーキついてないけどな。で結局どうなったんだよ?」


「……俺の負けだよ。それでも構わず脱兎の如く逃げていったよ……猫だけど」


「猫の話に別の動物名入った慣用句をちょいちょい混ぜてくるなよ。でもまぁ〜ヒロトも猫も無事でよかったよ」


「今回の出来事で分かったことがある」


「ん?」


「猫も急には止まれない」

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