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5 家

「もう少し新しくて広い洞穴に住みたいわねぇ」

蜘蛛の巣を棒の先に絡めながらママが言った。

隣では、しかめた顔をしたアリクイが…。

「じん君家みたいなのですか?」

朝ごはんを食べ終え、げんはお皿を片付けていた。

「ん〜、じん君のパパは社長さんだからねぇ。あそこまで大きくなくてもいいんだけど…」

「お掃除大変だしです」

すかさず返すげんの言葉に、まあね…ママは内心呟いた。

確かに古いし、あまり人気物件と言うわけではないのだが、げん一家が住む洞穴は特別悪いと言う程でもない。

むしろ、同じくらいの岩山で、同じくらいの広さで、同じくらいの生活レベルで暮らしている人達の方が大部分なのだが、隣の芝生は青く見えるものである。

ひとつの岩山に大体10の世帯が、丁度ボーリングのピンの並びを上から見たような形の洞穴に住んでいる。

げん一家の洞穴は上から2番目の、2件しかない列の東側。

洞穴だから窓なんかはないけれど、やや傾斜の付いた岩壁に開いた出入口への日当たりはまぁ悪くないし、眺めもそれなりに良い。

そりゃ一等地に行けば、巨大な一枚岩をくり抜いて、何部屋もある広い一戸建て洞穴なんかもある。

げんの友達のじん君家がそれだ。

「げんちゃんは大きくなったらどんな洞穴に住みたい?」

最近は、何十階もある巨大な岩山の上階に住む、洞穴セレブなんかも流行っている。

ママ的には、

「将来げんには、そんな高級洞穴マンションに住んでもらって、そこに自分も一緒に住んで、ワインでも傾けて、ホーホッホッーとか言うセレブな生活してみたいなぁ。あっ、でも、じん君家みたいな一戸建て洞穴でも、お手伝いさん居ればいっかぁ…」

なんて、そんな、自分の亭主に叶えて貰えない夢を、子供に叶えてもらおうなどと他人任せな甘い事を考えていると、

「プリンです!」

突飛な答えがげんから返ってきた。

「はっ?」

ママの目が点になる。

「住むの?プリンに?」

「うんです!おーっきなプリンに住むです!」

「そ、そうなんだ…?」

我が子ながらまた凄いことを考えるものね。

呆れていいものやらなんと言っていいものやら…でもまぁ、げんらしいか。

ママはため息交じりにげんを見た。


「お醤油かけて食べるです」

「…はっ?」

再び絶句するママ。


そうそう、子供の想像力ってとっても素晴らしいですよね。

子供の発想力は伸ばしてあげなければなりません。


…て、いやいや!そうじゃなくって!


げんちゃん?



ウニーっ!?

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