2 トースター
この時代の人々にとって動物とは、単に衣食の為だけの存在ではない。
マンモスに引っ張ってもらうマンモス列車しかり、電気と言う技術が無い原始時代で動物とは、人間が快適な生活をしてゆく上で、無くてはならない大切な存在である。
ストレス発散目的でいじめたりだとか、むやみに命を奪っては種を全滅においやるなんてことなど、絶対にしないのだ。
人も動物も魚も、この地球上に生きる全ての生き物は皆、平等に生命を与えられたかけがえのない兄弟なのである。
「モグモグ…」
げんは石で出来たテーブルで朝ごはんを食べていた。
朝食と言うには少々遅いが、まあ今日は日曜日。
幼稚園はお休みなんですから大目に見てあげましょう。
いずれ大人になれば時間に終われた忙しい日々になる。
「モグモグ…」
今日の朝ごはんは、どんぐりで作ったパンに、牛乳。
「んっ!?ママ!焼けてないですー!」
げんは食べるのを辞め、ブスッとした顔で隣の部屋に居るママに文句を言った。
「あら、そうだった?ちょっと自分で焼いてー」
手が放せないのであろう、ママの声だけが帰ってきた。
げんは小さくもうっと呟くと、石の箱にパンを放り投げ、キツツキを一緒に入れてフタを閉めた。
次いでスカンクを石の箱の上に開いた穴の上に座らせる。
トントントントン…
キツツキが石の箱の壁を突き続ける。
ン〜…
スカンクがお腹に力を入れる…。
プゥッ!
ポンッ!
フタを開け、パンを取り出しかぶりつき、ほころんだ顔でテーブルへと向かうげん。
そうそう、焼きたてのパンは柔らかくておいしいですもんねー。
…て、いやいや!そうじゃなくって!
げんちゃん?
早く出してーっ!!