レジ
「お会計、千五百石貨になります」
暖めたお弁当を別の袋に詰め、店員がにこやかに言った。
帰ったらパパをどうしたものか考えていたが、買い物の値段を聞いて、思ったより安かったと、ママはちょっと喜んだ。
家計を守る立場にあるのだから、やはり安いにこした事はないだろうが…ほんと女性とは、切り替えの早い生き物である。
店員は一万石貨を受け取ると石で出来たレジを開け、
「あっ」と、小さく呟き、
「申し訳ありません。細かくなってもよろしいですか?」と、たずねてきた。
「え?ああ、構いませんよ」
軽く答えるママ。
「では失礼して…」
ゴトッ…
えーと…おつりは…八千五百石貨だから…千石貨が八つに五百石貨ひとつか…
ちょっとかさばるけど、まぁげんちゃんに五百石貨任せればいっか。
そんな事を考えていたママだったが…
ゴトゴトゴトゴトー!
ゴロン
ゴロゴロゴロ…
「あの…?」
次から次へとカウンターに置かれるお金!
「あっ、待って下さい。あと四千八百石貨出しますから」
ゴトゴトゴトゴトー!
カウンターの上に積みに積まれた百石貨の山!
「では、ご確認下さーい。八千五百石貨のお返しでーす」
百石貨の山の向こうから店員の声だけが聞こえる。
「…」
どうやって持って帰ろうか思案中のママであった。
そうそう、大きいお金で貰えない時ってたまにあるんですよね〜。
細かいと知らず知らず使っちゃうから、出来ればあまり細かくしてほしくないんですけどね。
…て、いやいや!そうじゃなくって!
店員さん?
せめて千単位でーっ!!