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遭遇! 巨大熊!?

「いやぁ、思わぬ収穫が色々あったッスねぇ」 

 一人でお買い物は今のところ大成功だ。

 全く想定外の事が起こったり、想定外の物が手に入ったりもしたが、俺は元気です。

「この剣はホント……こんなの貰ってよかったんだろうか?」

「まぁだ悩んでたンスか? とんでもない掘り出し物じゃないッスか! それにしても、コーイチって一体何者なんスか?」

「俺なんて、ただのしがないプロデューサーさ。少なくとも俺はそう思ってるし、そうでありたいね」


 サイファスと雑談しながら歩いていると、くぅ~……とお腹が鳴った。

「それにしても腹減ったな。いい頃合いだし、昼飯でも」

 俺がそう言った時だった。

 前から歩いてきた、いかにも素行の悪そうな男が、俺に向かってわざと肩をぶつけるように突っ込んできたのだ。


 俺はそれを、軽々と避けた。


 男は無様にバランスを崩し、人通りの多い通りの真ん中で盛大に転んだ。


 俺が男をチラと一瞥し、何事もなかったように歩きだしたところ、

「オイオイ待てやコルルァ!!」

 急いで立ち上がった男が俺の肩を掴んだ。

「はぁ、なんでしょうか?」

 俺がいかにも面倒くさそうに訪ねると、男は顎を突き出しながら、更なる巻き舌で俺に絡んだ。

「てめぇ~、てめぇが俺を避けるから転んじまったダルルルルォォ!? あーいう時は優しく受け止めてさし上げるのがスジってもんだろぉぉおおん!?」


 ええ……そんな情けない絡み方あるか?


 俺はこの男の風貌と動きから、肩をぶつけられて絡まれる未来を予知して華麗に避けたのだ。

 それなのにこんな強引な絡み方をされるとは、これもまた想定外だ。

「そんな義理は無いだろ。アンタは俺の家族でも友達でも知り合いでも、もちろん所属アイドルでもない赤の他人だからな」

「そ、そこまで言われちゃ悲しいダルルォォ!? 人類皆兄弟って言葉知らねぇのかよぉぉお!? この俺の精神的ショックに対する慰謝料と、さっき転んだ時に打撲した足の治療費! 払ってもらおうじゃねぇぇーか!」


 あぁ~、めんどくさい。


 俺の両手両足の手首にはまだ修行用のリストバンドが着いている。

 見たところこの男は勢いだけで、実力が伴っているわけではなさそうだ。

 このリストバンドを外せば、畳んでしまう事も簡単だろうが……。


 衆人環視の中であまり目立つような事はしたくない。

 アイドル活動にもどう影響してくるか分からないしな。

 このトラブルをどう乗り切ったものかと俺が考えていると


「きゃっ」

「うおっ」


 遠くから小さな悲鳴が複数上がるのが聞こえた。


 悲鳴は俺に迫る男の背後からだったので、俺には何が起こっているのか見えない。


「ひっ」

「おっと」


 悲鳴が徐々に近づいてくると、強がって我慢していた男も遂に振り返った。


「ちっ……んだよぉ……おぉぉおおお!?」


 俺と男、二人分を覆いつくすほどの大きな影が地面に落ちる。


 焦げ茶色の巨大な手が迫ると、男の頭を鷲掴みにして軽々と持ち上げてしまった。


「んおぉぉおおおおっっ! 離せっ! はな……」


 足をばたつかせる男に、突然現れた超大男は


「ゴォォォォオオオオッッッ……!!」


 腹の底から響くような声で吠えた。


「ひっ、ひぃぃいいっ!! うわぁぁあああああああっっ!!」


 情けない悲鳴を上げた男を、超大男は棒切れのように放り投げた。

 軽々と飛んで行った男は、あっという間に見えなくなった。


 絡んできた男がいなくなり、俺は超大男と向かい合う形になった。

 背丈はゆうに三メートルは超えているだろう。

 さっき会った大男、ジャニよりデカイ。今日はデカイ男とよく会うな。

 まるでヒグマのような体躯を持つその男は……その男は━━。


 熊だった。

 本当に熊だった。

 もう少し詳しく言うなら、指が五本あり、服も来ていて、直立歩行している熊だ。


「……大丈夫、か?」


 しかも喋る。

 あとめっちゃ優しい。

「あ、ありがとうございます……」


 うーん、見れば見るほど熊以外の何者でもない。

 顔も熊だ。

 普通に喋ってるけど、声帯とかどうなっているんだろうか……?

 興味は尽きない。


「ふ……む、貴方、結構強そう。ああいうの、倒す、しても、問題ない。日常」


 なるほど。この程度の諍いは日常茶飯事だと。

 素早く制圧できそうならそうした方が良いかもしれないな。

 舐められると逆にさっきみたいな男に狙われやすくなるかもしれないしな。


「俺、行く。これからは、気を付ける」


 そう言うと熊男は、モーゼのように人垣を割りながらのしのしと歩き去って行った。

 人を……いや、熊を? 見た目で判断してはいけないな。


「アレは熊人族ッスねぇ~」

 ずっと黙っていたサイファスが耳打ちしてきた。

「そのまんまだなぁ。それにしてもサイファス、トラブルが起こったら助けてくれるのかと思ってたけど?」

「あの程度のトラブルは自分で解決してくれないと、一人でお出かけは許可できないッスよ~? よってコーイチは不合格ッス!」

「ええ!? 何事もなく解決したじゃん!」

「あの熊男さんに助けられただけじゃないッスか!」

「うん、確かに!」


 次に外出した時には、俺の真の実力を見せてやろう。


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