同じ景色
中に入ると、そこはダンジョンの様になっていた。
「ひっろ……」
「2グループに別れて行動するつもりだけど、これ時間内に探索できるかな……」
僕は猫背と四肢なしと一緒に左側を攻略する事になった。
ずっと同じ景色が続くものだから、地図をリアルタイムで更新していても迷子になりそうだ。
それにしても誰も話さないこの空気はあまりに息が詰まる。無口な僕が言うのもなんだが。
「来たよ。戦闘準備。」
その空気を破ったのはキメラアント。ざっと見て30はいる。しかも並びが軍隊っぽくて気に食わない。異型生物の癖に生意気だと思う。
洞窟内を壊してしまうといけないのでグレネードは使えない。これは少し時間を喰う戦いになるかもしれないな。
数十分後、無事に片付け終わり再び僕らは探索を開始している。
さっきからどんどんと下の方へと進んでいるのだが、もう帰りたい気分だ。
これを考えるのは何回目だろうか……
「お?ボスっぽい?」
「油断しないで。貴方の行動はいつも軽率なんだから。」
「へーへー肝にめーじマース」
どうやらぼーっとしている間に大きな空間手前に辿り着いたようだ。
中はキメラアント達の渦で埋め尽くされていた。
その渦の中には一際大きなキメラアントが鎮座している。恐らく、あれがボスだろう。
突然、銃声が鳴り響く。重機関銃の音だ。
「流石。隊長らは行動力が違え。」
「考えなしとも言うけれどね。」
少しの会話を交え、直ぐに応戦に入る。
敵の数は尋常ではなく、ほぼ四面楚歌状態だ。
僕は機動力が取り柄なのだが、これでは意味が無い。
それに厄介なのが、キメラアントの死体。
足場がどんどん無くなっていく上に、ツルツルとしたボディのせいで上手く踏ん張ることが出来ない。
とりあえず撃つ。蹴る。体当たりをする。
殺す。
もう何匹倒したかも分からないが、未だ周りはキメラアント達で埋め尽くされている。
五人なんかで突撃しろと言った上層部はクソだ。ブラックだ。
「ギェアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
声のした方を見ると、四肢なしがボスの頭をもぎ取っていた。
突如、周りのキメラアント達が砂のように崩れ落ちてゆく。
否
正しくそれらは砂となった。
足元には砂漠などでよく見るさらさらの砂が広がっていた。
そこには美しさなど欠けらも無いが、何故か僕はそれをまじまじと見てしまう。
「早く脱出するよ!」
洞窟内が砂状になりつつある事に気づく。
ヤバイ。いわゆるここは"積み地点"なのだから。迅速に行動せねば確実に死ぬ。
全員が出口に向かって走り出す。崩壊は僕らを待っちゃくれない。
崩壊するまであと10分。
かっちりとした字体の数字が視界の端に表示された。