嫌いな任務
いつも通りの時間に向かうと、皆がもう仕事を始めていた。
僕の担当するものはあまりなく、今回の大目玉であるDream Wreckageの資料まとめだけ。体内に潜り込めたのは僕だけなので必然的に僕に仕事が回ってきた。
そもそも撃退戦時はあまり新種異形生物の情報は得られないため、仕事が少ないのだ。
多分明日からはしばらく探索任務になるだろう。
「失礼します。次の見学についてのお話なのですが。」
部屋に訓練所の職員が入ってきた。彼らは特掃隊の隊員を育てるために日々奮闘している。
茶色いシャツに赤のネクタイをつけた彼らは国に決められた優秀な人材で、彼らも元は訓練所で訓練を受けていた。
僕も元はそこで訓練を受けていた。
でも僕はこの役職になるのは嫌で、警察になるのが夢だったのだ。
しかし今の時代は全人類の未来が国王の手の中にあり、当然職業も決められる。
職業は生まれた瞬間に決められ、7歳に親元を離れる。
そのあとはその職業専用の施設に送られ、そこで一生暮らすのが我々国民には義務付けられている。
もちろん、職につけるまで住民票は着けたままだ。
入ったばかりの時、僕は相当泣いたし怪我もした。
その度にインターネットで昔の四季の画像を見て、この世界は僕が変えるなんて意気込んでいたのを思い出す。
まあ、訓練所から出られるのは13年後。つまり20歳になってからなのだが。
いつの間にか僕の紙の上には意味の無い文字の羅列が綴られていた。
考え事をするとついつい関係の無い単語を書いてしまいがちだ。もっと集中しなければ。
僕は削除ボタンを押した。
今日は別に待ってない探索任務の日だ。探索任務ではまだ探索していない箇所を攻略、新たな異形生物の発見および破壊が目的。
高いランクの異形生物に遭遇することもあればなんの収穫もない日だってある。
探索任務は高ランク異形生物の居ない時に行われるため、1年間の半分以上は探索任務を行っている。
今日攻略する所は南南西、第12仮拠点に近い場所だ。
あそこら辺は集団で行動する異形生物が多く、攻略が遅れていた。
だが今回巣を探し出し攻略を進める方針が上がったのだ。全く面倒くさい。
「よし。今回の作戦内容を話すぞ。」
隊長が真面目な顔で作戦を話し出す
「まず第6拠点から出発し、そこから第12仮拠点まで1日かけて歩く。そこから巣までの5キロ、周りの敵を殲滅しながら攻略。見つけ次第中に入り中心核の破壊と爆弾の設置を終え、終了し次第帰還と爆破。質問あるか?」
隊長がそう言って周りを見渡すと猫背が手を挙げて発言許可を求める
「はいどうぞ」
「もし見つからなかった場合はどうなるんです?」
「いい質問だ。見つからなかった場合、我々は一旦仮拠点まで撤収し後日捜索をすることになっている。もし3日捜索しても見つからなかった場合は撤退となる。」
となると、早めに見つけておきたい。日を重ねていくごとに体力を消耗し、戦力も落ちるだろう。そう考えると3日が妥当だ。
暫くして第6拠点へと着いた。僕らは準備を済ませ、隊長の指示を待つ。
「さて皆。準備はいいかな?」
長々とした探索任務の始まりだ。
帰りたい。
記述ミスがあった為、修正しました。