嵐の前の静けさ
「ああ!今から呼びに行こうと思ってたんだ!」
「ごめんね!伝え忘れちゃって!」
事務室へと向かうと全員が集まっており、これから会議を開くようだった。どうやら僕にだけ伝え忘れたらしい。
会議の内容は明日の撃退戦に関してのことだった。
敵の名前は【Dream Wreckage】
意思の無い異形生物で、クラスはD
意思があると強く、手強い。クラスはAが一番強くZが一番弱い。そのほかにもAAクラスがあり、それは規格外のものにつけられる。
第一部隊はAからDの異形生物つまり、上位の異形生物を相手に戦っていく。
もちろんそのクラスに見合う強さなので、死ぬ確率も驚くほど高い。
だからこそ、こうして撃退戦に出る前に会議をしておく必要がある。
今回の敵は空中に浮いており半径2㎞をゆっくりとした速度で旋回している。
なので現在位置は分からず、探すところから始めなければならない
そのために、任務達成には3日くらいかかるだろうという話になっている
第1拠点からが1番近いそうなのでそこから出発。途中にある仮拠点で1泊をすることになった。
幸いなことに、敵は仮拠点近くを旋回しているらしく、そこで来るのを待つのが最善。
動き回ると敵を見失う恐れがあるのに加え、無駄な体力をしょうもうするから。とのことだ。
会議は朝から昼まで続き、あとは全員で明日に必要な物を用意する。
それは1時間程で終わったので、あとは各自明日に備えて射的練習をしていた。
それから午後も終わり、皆自室に戻っていった。
僕も部屋に戻ってベットに寝転がりながら明日のことを考える。
正直に言って、僕は敵の位置がわかる。けれど、それを言うのは何となく面白くない。
せっかく旅行に来たのにも関わらず、メインの温泉だけ行って帰るようなものだ。もう少し観光をしてもいいだろう。
そのあとシャワーを浴びて僕は就寝した。
次の日昨日と同じ時間に事務室え向かうと、僕が1番最後だった。
「遅せぇよ新人」
時間ぴったりに着いたはずなのに、そんなことを言われたくはない。
隊長がざっと今回の作戦を説明され、テレポーターへと移動する。
「君は今回初めてだよね。」
頷くと、隊長は説明しよう!と解説を始める。
「ここは外にある拠点と繋がるようになってる。横にある機械を操作して、何処に行くかを決める。今回は第1拠点に行くから、このボタンを押す。ちゃんと文字が書いてあるから簡単だろ?」
隊長がボタンを押すと、目の前に大きな時空の割れ目が発生した。ここから第1拠点に行けるようだ。割れ目の先には、ひとつのドアとキッチン、そして机と椅子が置かれていた。割れ目をくぐると冷気が体を纏い、思わず身震いをする。
さっきは見えなかったが部屋の右端に調査や撃退戦に必要な備品が置いてある。僕は自分の名前が書いてある所から銃とガスマスクを取り、最後に銃弾をベルトについている物入れに入れる。
「手慣れているって感じだね。もしかして新人っていうのは間違い?部隊ランクが上がっただけ?」
「いや、彼は新人だ。上が言っていたように本当に大型新人なんだろう。」
青色の制服を正し、準備を終えたと目で隊長に伝える。
全員の準備が整った。
いよいよ撃退戦が始まるーー