異世界召喚
ゆっくりと、冷たい海に沈んでいく様な感覚だった。
俺は目を覚ます。上体を持ち上げて、周りを見渡す。
「ここが、死後の世界か…。」
そこには、真っ白な空間が広がっていた。 何も無い、ただただ真っ白い空間が、どこまでも続いていた。
「んん?」
そんな中に、一つだけ何かがある。
よく目を凝らして見てみると、それは、人だった。
いや、本当に人なのだろうか。
その何かは、十字架に括り付けられていた。 距離があるのでよく見えないが、だいたいの形は分かった。
"まただ、違う、…………くしろっ"
「えっ、何だ?」
"君じゃ……"
その声は、突然聞こえた。 直後、体の力が抜けて俺は地面に倒れこんだ。
再び目を開けると、赤い空、角張ってゴロゴロした石。元の場所にいた。
「さっきのは、何だったんだ?」
真っ白な空間と謎の声、十字架に括り付けられた何か。
不思議な所だった。
「おい、大丈夫か?」
声がした方を見ると、バスターソードを持った若者がいた。
背丈は170センチ位で、サラサラとした金髪は短く刈り揃えられている。
「あ、はい。 大丈夫です」
「そうか、それは良かった。 一応、止血と、血の生成はしておいたから」
「ありがとうございます」
止血は分かるが、血の生成というのはよく分からない。
少なくとも助けてくれたことは確かだと思うので、素直にお礼を言っておいた。
ついでに情報収集をしようとして声をかけた。
「少し待っててくれないかな。 もう少ししたら、まとめて話すつもりだから」
「分かりました」
まぁ、焦る必要も無いだろう。
その時までは、おとなしくしていよう。
数分後、俺達は一箇所に集められた。
「これから君達にはアルニアの王都、エルムに向かってもらう。 既に治癒魔法もかけ終えているはずだ。 彼方に着いてからの食事と寝床はこちらで手配しておいた。 何か質問はあるか?」
金髪騎士は当たり前のように言っているが、知らない固有名詞が多過ぎて俺達からしたら分からないことだらけである。
なので、いちばん気になることを聞いてみた。
「ここ、どこですか?」
「ここか?平地型ダンジョン《赤餓の陽場》、第3階層だよ」
また知らない固有名詞が増えた。
というか、聞きたいのは、そういうことでは無い。
「僕たち住んでた所は、地球、アースって言うんですけど、ここは何ていう世界なんですか?」
「ああ、そういうことか。 ここは一般的には、クエリアって呼ばれてるよ」
やっぱりだ。さっき魔法という言葉が出てきてから、気になってたんだ。 俺は喜びのあまり、叫んでしまった。
「異世界召喚 来たぁあーー!!」
勉強の息抜きに投稿してみました。
理科の〈電流〉の単元で行き詰まってます。
基礎は分かる、法則も分かる。しかし、図が出てくると、どうにもならなくなる……。 何に関しても、まだまだ課題は多そうです。