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The End of The World   作者: コロタン
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第50話 猿猴月を取る(えんこうつきをとる)

  「慶次、隆二君、今日予定が無ければ、2人に頼みがあるんだが良いか?」


  俺は見張りの時間が終わり、寝る前に2人に話しかけた。

  昨日のフィルム貼りで疲れてて正直眠いが、これだけは話しておきたかった。


  「なんですか、誠治さん?・・・て言うか、いつの間にか兄貴の事呼び捨てにしてたんですね・・・。俺も呼び捨てで良いですよ?兄貴を呼び捨てで、俺を君付けなんて変な感じですし・・・」


  「解ったよ。じゃあ、慶次と隆二に頼みがある・・・。今日、お前達が良かったら、警察署に行って無線機を手に入れたいんだが、付いて来てくれないか?」


  俺は慶次達に今日の予定について聞いてみた。


  「構わないが、なぜ俺達なんだ?」


  「そうですよ・・・警察署の内部なら、渚さんの方が詳しいと思いますよ?この前みたいに、誠治さんと渚さんと俺ではダメなんですか?」


  2人は、嫌がってはいないが、何故自分達に頼んだのか不思議そうにしている。


  「建物内での作業になるから、奴等がいた場合、近接メインの戦闘になる・・・。渚さんでは厳しいと判断したんだ。だから、慶次に来てもらいたい。それと隆二を選んだのは、悠介は素早いが力はあまり強くない。だが、隆二は悠介にら比べて力が強い・・・。荷物を持って貰いながら、俺と慶次のサポートを頼もうにも、悠介では難しい。まぁ、お前達は兄弟だから、連携も取りやすいだろいからな・・・。それがお前達に頼んだ理由だ」


  2人は俺の説明を黙って聞き、互いを見て頷いた。

  

  「了解だ。あんたと一緒なら心強い」


  「俺も良いですよ!兄貴と誠治さんが一緒だし、俺は荷物持ちに徹する事になりそうですけどね!」


  2人は了承し、見張りのために休憩室を出て行った。






  「さて、警察署はどこかね?町の地図では、この辺りのはずなんだが・・・」


  俺は、慶次と隆二の3人で町の中心部に来ている。

  見張りの後、朝食を済ませて渚達に今日の予定を伝え、警察署に向かっているところだ。

  渚達には、交番の守りが手薄になってしまうので、何かあった時はすぐに逃げろと言ってある。

  もちろん、集合場所は決めてある。


  「なんか、奴等が少なくないですか?確か、この町にも大型商業施設がありましたよね?そこがまだ機能してるんですかね?」


  隆二の言う通り、奴等の数はそこまで多くはない。

  見た限り、車の中なら慌てるほどではない。


  「隆二、奴等が少ないからと油断はするなよ?」


  通りに奴等が少ないとしても、建物内は判らない。


  「解ってるよ兄貴・・・」


  慶次は隆二に注意を促した。


  「おっ、あれじゃないか?」


  俺は、周囲の建物を見渡し、それらしい建物を見つけて2人に知らせた。


  「それっぽいですね・・・。取り敢えず向かいましょう!」


  隆二は地図で確認し、警察署と思しき建物に車を走らせた。






  「ビンゴだな。隆二は俺の後ろ、慶次は殿をしてくれ。建物内部にはどれだけの奴等がいるか解らないから、注意して進む・・・。無駄な戦闘は避けて、無線機だけ手に入れよう」


  「余裕があるなら、証拠品保管室も見ていきませんか?」


  隆二が俺に提案してきた。


  「まぁ、中の状況次第だ。無理をして誰かが死ぬなんて事になるくらいなら、銃など必要無いからな」


  2人は俺の言葉に頷いた。


  「では、行くか・・・」


  俺は2人に言い、警察署内部へと歩を進めた。







  「誠治さん、無線機ありましたよ!ちょうど新品が6個ありました!人数分には1個足りませんが、どうします?まだ探しますか?」


  俺達は、警察署1階の備品室で目当ての無線機を発見した。

  隆二がそれをバックパックに入れながら俺に聞いてくる。


  「確かに、あるに越した事は無いが、基本は2人組で行動するから、欲を出して探すほどでは無いかな・・・」


  「確かにな・・・。これ以上先は何があるか解らないし、ひとまず戻ったらどうだ?」


  俺も慶次と同意見だ。

  1階には奴等が少なかったが、全部を確認した訳では無い。ここより上の階も少ない保証は無い。

  この警察署は町の規模にしては意外と大きく、4階建だ。

  署内の地図を見ると、階段は建物の真ん中と左右の計3ヶ所だ。

  俺達は今真ん中の階段の近くに居るが、ここから上の階に行ったとして、通路で戦闘中に、他の階段から奴等が来たら、挟まれる危険性がある・・・。


  「大丈夫だって兄貴!1階には10体もいなかっただろ?上の方だって少ないと思うよ!心配なら、様子を見て進めば良いんだしさ!ついでに証拠品保管室も見たら良いんじゃないか!?」


  隆二は食い下がった・・・。

  確かに、警戒しながらなら大丈夫かもしれない。

  だが、壁に隠れて様子を見るにしても、通路は確認出来ても部屋の中は無理だ。


  「俺は反対だが、慶次はどうだ?」


  「そうだな・・・。確かに危険ではあるが、この騒動以降、安全なんて有って無い様なものだから、武器が必要なのも事実だ・・・。俺は、隆二の言う様に、後々の為に探しても良いと思う」


  「・・・解った。2人に従おう」


  多数決で決まったのだ・・・俺だけがこれ以上反対しても意味が無い。

  俺は諦め、2人と共に2階へと上がった。


  「取り敢えず、見える位置には少ないな」


  「だから言ったじゃないですか!誠治さんは心配し過ぎなんですよ!大丈夫ですって!」


  隆二は自信満々に言ってくる。


  「見える位置にはって言っただろ?この位置からは部屋の中は見えない・・・。もし、部屋の前を通る時に、奴等が出てきたらどうする?2階では、逃げるのに時間が掛かる・・・。俺は、そう言う危険性を考えて反対したんだよ」


  「確かに、誠治さんの意見は正しい・・・。俺もさっきお前に賛成しておいてなんだが、今の内に引き返した方が良い・・・」


  「誠治さんも兄貴も心配しすぎなんですよ・・・。そんな事で、いざという時にすぐに判断出来るんですか?」


  隆二は聞く耳を持たない・・・。


  「どうしても2人が行かないなら、俺1人でも見てきますよ!」


  隆二は1人で歩き出した。


  「隆二!待て!1人で行くな!!」


  慶次が叫んで呼び止めた・・・。

  叫んでしまった・・・。



          ガシャン!



  隆二の歩いている近くの部屋の窓が砕け散り、奴等が出てきた・・・。


  「うわぁっ!?隠れてやがったのか!?」


  隆二は驚き、転倒した・・・。


  「隆二!早く立て!!」


  俺と慶次は、倒れた隆二に襲い掛かろうとしている奴等を各々の武器で倒しつつ、隆二に駆け寄る・・・。


      ガシャン!  ガシャン!


  立て続けに部屋の窓が砕け散る・・・。


  「くそっ!言わんこっちゃない!!慶次、真ん中の階段はもう使えない!このまま奥の階段まで走るぞ!隆二もビビってないで早くしろ!死にたいのか!!?」


  俺は2人に指示を出して、奥の階段に向け走り出した。


    ガシャン!  ガシャン!  ガシャン!


  背後から、さらにガラスの割れる音が聞こえる・・・。


  (いったい何体いやがるんだ!?)


  俺は心の中で叫びながら、奥の階段に辿り着き、下を見て絶句した・・・。

  奴等が上がって来ている・・・。


  「くそっ!どうすりゃ良い!?」


  「俺のせいだ・・・。俺のせいでこんな・・・!」


  隆二は状況を理解し、力なく呟く。



          バシッ!



  慶次が隆二に平手打ちを食らわせた。


  「思考を止めるな!生き残る事に集中しろ!」


  慶次は隆二を叱咤し、隆二の手を引いて3階へと上がって行く。


  「誠治さんも早く!!」


  「・・・いや。俺はここで足止めする・・・。お前達は先に上に行って反対側から降りろ!奴等はここに集中するはずだ!!俺が引きつけてる間に早く行け!!」


  俺は2人を逃す・・・。


  (これは・・・死ぬかもしれないな・・・。美希・・・ごめん!!)


  俺は心の中で美希に謝り、持って来ていた日本刀を抜き、奴等に斬りかかった・・・。

  



  



  

  

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