プロローグ
そこは、都市近郊にある公園裏のジョギングコース、街灯は殆ど無く、夜は近隣の住民ですら避けて通るような道だ。
その日は新月で、ただでさえ暗い道がさらに深い闇に覆われ、静けさも相まって一層不気味さをましていた。
だが、そんな暗がりの中、ジョギングコース脇の林の中で一つの影が蠢いている。
地面に蹲っているような低い姿勢だ。
その影の前には、人間大の何かが転がっている。
「ピチャッ・・・」
闇の中、液体の滴る音がする。
「グチャッ・・・グチャッ・・・」
さらに、何かを咀嚼するような不快な音が響く。
その影は、目の前の物にひたすら喰いつき、咀嚼し、飲み込んでいた。
「ァ゛ァ゛ァ゛・・・」
しばらくすると、その影は満腹感を覚えたのか、それとも目の前の物に興味を無くしたのか、フラフラと立ち上がり、喉から絞り出す様な呻き声を上げ、覚束ない足取りでゆっくりと林の奥へと消えていく。
影の去った後には、無残に喰い荒らされた何者かの血と臓物と汚物のむせ返る様な臭いと、不気味な静寂だけが残されていた。
仕事の関係で不定期になると思いますが、頑張ります。