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まものといふもの

 魔物は人の感情を食べます。人間というのは動物よりもずっとずっとたくさんの感情持っていてそれぞれ異なった味でした。その中でこの魔物が好きなのは恋心でした。甘くてすっと溶けるような爽やかさがなによりも好きでした。少しほおっておくと、どこか重く胸につまるものになってしまう危うさも気に入っておりました。少女や少年から溢れるそれをほんの少しいただいて、ひょいっと口に入れる行為そのものもドキドキしていました。だって彼らの心臓の音が聞こえるのです。良いリズムの良い鼓動を持っていました。

 ただ劣等感、これだけは彼の中で別格でした。それはたいそう変わった食感であり、噛み切れないような弾けるような、それでいて噛めば噛むほど味が変わりました。何度も食べました。魔物は首をかしげるしかありませんでした。何度食べても答えはでません。奇妙な味なのに妙に馴染むのはなぜだろう。魔物は劣等感を食べ続けました。

 その日ももらおうと思ったのです。小さな少女がしょんぼりと木陰で座っていて、彼女ならきっと持ってるだろう、そう思ったものですから……。

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