姉よ。 (4)
姉よ。
何故お前は廊下で脱皮する。
トイレから出た私は、溜息を付きながら、姉が脱ぎ捨てた白い靴下を拾い上げた。
そのもう片方の靴下が、1m先に落ちて居る。
何故私はクリスマスの日に姉の靴下を拾って居るのだろう。
そんな疑問を抱きながら、そのもう片方の靴下も拾う。
その先にあったのは、黒いフレアのミニスカート。
クリスマスの正午に何をしてるんだお前は。
まあ、それも拾う。
だが、もう、嫌な予感しかしない。
階段の下から数えて二段目に、黒いタイツが落ちて居た。
そして……階段を見上げる私。
上から二段目に、白いシャツが落ちて居る。
そのどちらをも拾う私。
そして、二階に到着。
白いカップ入りのタンクトップが落ちて居た。
ちなみに姉はブラを持って居ない。 ジュニア用のカップ入りタンクトップやキャミソールで胸的に十分だからだ。
そのタンクトップも拾う。
……拾った途端、姉の部屋の前に白いパンツが落ちて居るのが見える。
姉よ。
お前は部屋に行くまで全裸にならないといけない宗教にでも入って居るのか。
パンツを拾い、姉セットをコンプリートした私。
激しく要らない。
…………。
私はこの姉セットをどうすれば良いのだ?
まあ、本人に付き返すのが一番良いだろうな。
と、徐に姉の部屋の扉を開ける私。
ノック? そんなものは姉には必要無い。
「姉さ……なっ!?」
滅多な事では驚かない私だが、これには吃驚した。
ミニスカサンタコスプレをし、絨毯の上にモ〇ポリーのボードを敷いて、一人でプレイしている姉。
意味が全く分からない。
普通4人で遊ぶボードゲームに一人で挑むとは、世界の摂理に反逆するつもりなのか私の姉は。
「姉さん。 何しているの?」
ちょっと声が震えてしまった私。
「〇ノポリーじゃん。 見てわかんねぇのかよ。」
「……一人でどうやってモノポ〇ーやるのよ。」
「あたしA、あたしB、あたしC、あたしDで対決してんじゃん。」
それはクリスマスにやらなくてはいけない事なのだろうか。
しかも、何故下着を脱いでわざわざサンタコスをしながらやるのか。
ん? 下着?
「姉さん、パンツくらい履いて頂戴。」
「何言ってんだ。 履いてるに決まってんじゃん。」
「意味が分からないわ姉さん。 ならなんで部屋の前にパンツが落ちてるのよ。」
「…………………。」
「そこでなんでいきなり無言になるのよ姉さん。」
「し、知らない!!」
なんだこの生物。 まさか照れてるのか?
ちょっと待て。 パンツを……履いていると言ったな。
手元にある姉セットのパンツを見る私。
これ、新品なのでは無いか?
…………………。
姉よ。
まさか一緒にモノポ〇ーを遊んで欲しくて、態々パンツまで部屋の前で脱いだフリをして私を誘き寄せた訳ではあるまいな。