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第三十六章『個人授業を…』

「機首が下がりすぎてる!上げろ…上げ…あ…」


空母ヨークタウンに着艦しようとしたドーントレス爆撃機は穴だらけだった。

機体だけでなくパイロットも傷を負っていたらしく、管制官の懸命の誘導にもかかわらず

飛行甲板に前のめりに突っ込むと、そのまま艦橋のすぐそばまですべってきて停まった。

この機が初めてではない…二波合計で百五十機も出した攻撃隊で戻ってきたのは

わずか六十機ほど…それも母艦直前で不時着水したり、いまのように着艦に失敗して

失われる機体が続出している。


「無事に着艦した機体にも修理しないと使えないものが多そうですな」


艦長バック・マスター大佐の声に蒼白な顔でうなずいたのは

空母部隊司令官フレッチャー少将である。


『…なんてこったい!ワスプの方も同様だとすると、作戦可能機は二艦合わせても

六十機程度しか残っていない…百九十も載せてきたのに、たった一回の戦闘で三分の一に

なってしまった』


「キンケード長官から『以降は、索敵と艦隊直俺に務められたし』と来ています」


「…攻撃戦力としては見限られたということか。この結果では仕方ない…が…」


帰投したパイロットの話では、日本軍は三百機(五割り増し)もの戦闘機を

繰り出してきたという。残存機で再攻撃をかけたとしても、より悲惨な結果を招くだけだ。


「ヨークタウンより…『了解』です」


「さて、こちらの出番だ。幸い日暮れは早い…それまで日本機の攻撃をしのげば

夜の間にトラックを火の海にしてやれるだろう。針路……んっ?」


「潜水艦『コッドフィッシュ』より…『敵艦隊発見。視認されたものだけで戦艦六隻を含む。

内二隻は未知の大型艦なり。艦隊上空に艦載機あり、空母を含む可能性大』…来ました!!」


「発見位置と針路からして敵はギルバート諸島を目指しています」


「速度は……十五ノットか。このタイミングで見つけたとは我が軍にもまだツキがある」


「……なるほど、この位置関係なら我が艦隊の高速性をもってすれば、敵艦隊より早く

本隊に合流できます。夜のうちに駆逐艦への給油を済ませておいて正解でしたな」


「そういうことだ。日本軍は我が隊が分離したのを知って本隊と決戦しようと

したのだろうが、レキシントン級の脚を甘く見たことを後悔させてやろう」


「…トラック島への砲撃は中止ということですか?」


「作戦前の打ち合わせの中で想定済みの事態だ。すぐに本隊からも指令が…来たようだね」


「はっ、キンメル長官より『予定通りギルバート沖に来られたし』です」


……東京


「第一艦隊がこのタイミングで見つかるとは…ついていると言っていいかな」


「はい、トラック基地が砲撃を受けることは覚悟していましたから。

環礁外のミレ島ほか、いくつかの島に滑走路を造ってあるので航空機はそちらに避難させる

予定でしたが…」


「百式司偵の電文を傍受…『敵艦隊反転せり』…ギルバート方面に向かっています」


百式司令部偵察機、通称『新司偵』は陸軍が開発した双発の高速偵察機である。

高高度を高速で長距離飛行して、敵領土奥深くを探る戦略偵察機として設計されたが、

試作段階で情報を知った海軍が同様の機体をほしがっていたこともあり、共同開発を

もちかけた。予算も完成後の売り上げも倍に膨らんではりきった設計陣によって、

最高速度620キロを越え、操縦性ほかも申し分のない機体が誕生した。

数はまだ少ないが一応前線には行き渡ったところであった。


「後は近藤さんの手腕に期待しますか」


レイテ沖海戦の後、体調を崩した高須中将に代わって近藤信竹中将が第一艦隊の

司令長官に就任している。


「少々ややこしい仕事ですが、近藤君ならやってくれるでしょう」


豊田中将の言葉を聞きながら、椿は眼下の兵棋盤の上におかれたいくつかの駒と、

手元の資料を見比べて、少し考えてから言った。


「多少の誤差は出るでしょうが、決戦は三日後ぐらいからですね。

私は一旦帰宅させてもらいますが、皆さんもできるだけいまのうちに休息をとられて

おいた方が良いですよ。ここも前線の艦隊も相当疲れる戦いになるでしょうから」


…大まかな作戦については連合艦隊と打ち合わせ済みだ。現地の艦隊の行動を

こまごまと拘束するようなことはしていない。多少の誤差が生じても全体として

『そこそこ』やってくれれば『この時期』に、のこのこと出てきてくれた太平洋艦隊…

いや、合衆国大統領ルーズベルトにもたっぷり後悔させてやれるだろう。


それはそれとして、兵棋盤の駒を動かす女性職員の一人がちょっと気にかかる。

制服は紺のツーピース、タイトスカート、えんじのネクタイ…この時代にしては

おしゃれである。よく欧米の戦争映画に出てくる女性士官?のあれに近い。


『戦艦ビスマルク号を撃沈せよ』でケネスモア扮する海軍参謀大佐の相手をした

女優…名前は忘れたし、年もいってたけど…はなかなか良かった。

椿の場合女性の嗜好として、年のほかに『制服好き』ということがある。

といっても、看護士は意外と萌えない。メイドとスッチーはまあまあ、やはり軍服…

警察含む…か。


あと、制服ではないがタイトスカートの教師、眼鏡付きというのも捨て難い。

さらに顔が全体的には童顔なのに目の辺りがきりっとしてたりすれば、もう〜言うことはない。

前述の職員がまさにそれ系なので気になっているのだが…

それがどうした!?間近にせまっている日米決戦になんの関係がある!?…と

いわれると返答に困るのでこの辺にしておこう。


つづく






やっぱり話の切り方は難しいですね。こういうことが気になりだしたのは、少しは欲が出てきたのでしょうか?自分としては何も考えずスラスラ書ければ、その方がいいと思っているのですが…

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