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最終章『何処へ…』

「極東ソ連軍に大きな動きはなし…ですが、満州に逃げ込んだり樺太や

北海道の沖で保護される難民は増加傾向にあります。中央政府が動揺していた

時期に物資の横流しなどしていた連中が追求を恐れて逃げ出したという側面も

あるようです」


「引き続き警戒を怠らず、情報収集に務める…ということですね」


「では、今日はこの辺で…」


首相が幣原喜重郎に代わり、陸相は永田鉄山が正式に拝命してる。

海軍は大臣が山本五十六、軍令部総長が井上成美、まだ解散の予定のない

連合艦隊司令長官には豊田副武が就任している。


国家中枢の顔ぶれが代わっても『休戦』という状態の中で総連の機能は

重視されつづけている。対外的には…主に対米だが…なかば緊張感に満ちた

この状態がしばらく維持されるかもしれない。


緊張緩和や相互理解を深めての講和への努力は必要ではあるが、

ネズミのキャラクターに象徴されるアメリカの傲慢な文化的侵略も

そう簡単には許さない方がいいだろう。


本日の予定を終えた椿五十郎は総連の建物を出たとき、ふと後ろを振り返った。


『そろそろかな…』という気がしたのだ。


そのとき、視界の隅に同じように振り返っていた副官、遠藤中尉とその視線の先で手を振る

総連の『眼鏡っ娘』…久保マチコ女史が映った。はしっこくて聞き上手…の遠藤中尉なら

さもありなんだが、いそがしいさなかにどーやって付き合っているのか感心してしまう。


日本政府はいま急ピッチで魔王艦隊についての情報改ざんおよび捏造をおこなっている。

敗戦したわけではないので、すべての情報を開示する必要はない…対外的にも対内的にも…

のであるが、主に対ソ連をにらんで米英との協調体制を続ける上である程度の情報は

提供しなくてはなるまい。


魔王艦隊分の資材や造修施設、予算などについて国家ぐるみでつじつま合わせを

しているのだ。『機密』の部分をはめ込むことでなんとか『ごまかせる』めども

たってきた。


負け戦のとき機密書類の処分が行われるが、敵に情報を渡さないというのは理由の

半分である。残りの半分は…負けるような国家なり組織なりが…どれほどいい加減な

ことをやってきたかが国民にばれるのを防ぐため…という部分も大きい。


今回は事情はちがうけれど、『御使い』にからむ部分はできるかぎり闇の中におくべきで

あろうというのは指導者層の共通した認識であり、椿も異存はない。


魔王艦隊の乗員については樺太と北海道で戸籍を『製作中』…こうした小手先の

緻密な作業は日本人の得意とするところである。


椿五十郎はこれからどうするか…決定する時期がきているようだ。


ヨーロッパ…フランス戦線は膠着している。パリは防衛されたが、ドイツ軍の方で

多量の連合軍捕虜をつれて攻撃発起地点近くまで戻ったという方が正確だろう。


まあいい、ヨーロッパ人同士がもっと数を減らし合うのは地球環境にとって

悪いことではない。


『見るべきほどのものは見つ…か』


早稲田の自宅に戻り、桜えびのかき揚げと冷や奴でとりあえずビール…


女中の一人、セツは秘書の高倉青年との婚約以来いつも幸せそうな顔をしてる。

高倉青年自体、明治の護衛小隊の高倉軍曹と女中ハルとの子である…高倉家の伝統か?

同じ家で長い間起居してればありがち、1980年代の小さなゲームソフトハウスみたい…


もう一人のサチも元気である。彼女は椿に仕えつづけたいとはいっていたが、ここにきて

将来の夢を『マッサージのプロ』に置いているという。自分が施術をおこなうだけではなく

鍼治療などを含めた養成機関…学校の設立、経営まで視野に入れているらしい。

都の職員だった父親の手づるを使って行政への働きかけも検討してるというから

たのもしい。


仮に成功すれば…立志伝中の人物として、いつの日か国営テレビ放送の『朝の連続ドラマ』に

なったりするかもしれない。



さて、椿のいく途は三つある。


一、このままこの世界に居つづける…ポイントが約百五十億、平成の感覚で二十兆円ほど

残っている…『最後の決戦』に備えてとっておいて使いそびれてしまった。


これを持って一線を退き、どこか山奥に豪邸を建て、文字通りの私設軍隊と『美少女』に

囲まれて余生を過ごす。首相が代わる度、ひそかに挨拶にきたり政治資金をねだりに

きたりもする『闇の帝王』である。


悪くはないが、美少女を除くと日々が退屈そうなことはいなめない。


二、この世界の未来の『戦争』の場にタイムスリップする。

情報を総合するとこの世界には…いまのところ…核兵器が存在しない。

『日本が参戦する可能性の高い、通常兵器による大戦争の直前』…てな設定に

なるか。ヒットしない場合もあるかもしれないが…


三、そもそもの出発点である平成の世に戻る。

どうして(椿にとっては)腐りきったあの世界に戻る選択肢があるのか、

長い間疑問であったがここにきてようやくわかってきた。


禁断症状が出てきたのだ。なんの?…といえば『まんが』である。

椿はいい歳ぶっこいて、まんがを読むのが大好きであった。

一日に最低一度はコンビニのまんが売り場で立ち読みをする…という、いかにも

社会的に不要っぽい存在であった。


この世界にも内容は少し違うが『のらくろ』や『冒険ダン吉』は描かれている。

だが、昭和後期から平成のまんがを見慣れた椿が満足できるか?

否…断然否である!


何年かすれば『新宝島』をスタートに手塚治虫のまんがを読めるようになるかも

しれない…だが、たとえこの世界のまんがの歴史がもとの世界と同じように

進んだとしても、六十年も生きてられないし…


タバコやコーヒーなどの消耗品と同じように出現させられないのか…と思ったら、

出発した2007年、四月以降のものはだめであった。つまり『つづき』が

読めないのである。


『おおきく…りかぶって』 マネジ…


『ラブや…』 萌ちゃんもえもえ…


『呪…』 高校生並みの身長の十二歳のヒロインはその後…!?


『はじめの…歩』 初登場した頃の間柴妹…


『ハチワンダイ…ー』 受け師さんは相変わらずムチムチだろうか…


『カ…ジ』 どこでどんなギャンブルをやってることやら…


『コナ…』 灰原はまだちびキャラのままかな…


『エクセ…・サーガ』 二式ちゃん…


『HELLSIN…』 セラスというより婦警でしょ…


…きりがないのと、これ以上人間性および嗜好の暴露をつづけるのもなんなので

これくらいにしとくが、ともかくつづきが読みて〜〜のである。


歴史をいじくるのと、まんがのつづきが同レベルなのかと聞かれれば、

まったくその通りと答えるしかない。敵艦隊を粉砕するのも、まんがを読むのも

自分だけが『楽しむため』なのだから…


もうすぐ日付が変わろうとしている。

一人でコップ酒をあおりながら考える…どの途を進めば楽しいか…


遠くで電話のベルが鳴った…深夜の電話!?…何か重大事かよ…

もし、それに関与せずに旅立つとすれば猶予は十秒ってところだ。


さあ、何処へ……


おわり

おわり…の文字を打てました。途中一か月以上さぼりましたが、昨年六月末以来ほぼ十か月、おっさんの妄想におつきあい頂いた皆様有り難うございます。作品は終わってなんぼという主張の筆者ですが、終わりの形…グランドデザインをろくに考えず、やみくもにスタートしましたので『この話は一体どうなるんだろう?』と不安になることも多々ありました。なんとか『おわり』を打てたのは読みにきて下さる皆様を…読者だった頃の自分がそうだったように…がっかりさせたくないという気持ちからだった気がします。文章および内容にがっかり…という面は今後の課題ということで… また何か書き始めましたらよろしくお願い致します。 最後に…気がつかれた誤りや気になる点がありましたら是非お教え下さい。これからもしつこく修正を重ねていくつもりですので…



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