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それは満月の日に  作者: 櫟 千一
十三夜さんとの出会い
9/18

用心棒の十三夜さん

駅に着くと、もちろん望月はいなかった。

もう一度望月に電話をかけるが、相変わらず無言のままだった。

メールを送っても返事はなかった。

「くそっ、どこ行ったんだ」


駅構内へ入ってみると、相変わらず閑散としていた。

見回るが、どこにもいない。

駅前で望月はどこにいるのか真剣に考えていると、見知らぬ女に話しかけられた。

「あの、少しよろしいですか?」

何だろう、観光客だろうか? その割に服装が真面目すぎる気もする。

「その制服、月上高校ですよね? 今何時か分かりますか? どうしてこんな時間にこんなところいるのですか? 名前は? 何年生?」

あまりにもハキハキと質問をしてくるので僕は答えに戸惑う。

「えっ? あ、えっと、僕は・・・って、その前に、あ、あなたは誰なんですか! 変な人だったら警察呼びますよ!」

思わず名前を言いそうになるが、あまりにも怪しいので僕からも質問する。

「これは失敬。私、こう言う者です」

そう言ってニコニコしながら名刺を渡してきた。

十三夜じゅうさんや 那月なづき? な、何かすごい名前ですね」

「ええ、よく言われます。それで、あなたの名前は? 私は名乗りましたよ?」

「ええーっと、弓張ゆみはり ゆうです・・・その、ここにいた理由は、昨日転校して来たばかりの友達が道に迷ったらしくて、それで、先生に理由を話して今ここにいます」

「へえ?」

十三夜と名乗るその女は、あまり僕の話を信頼してなさそうだった。

「う、嘘だと思ったら学校に連絡しても良いですよ!」

「そこまで言うなら信じますが、友達って誰ですか?」

「あなたには関係ないでしょ! 僕は急いでるんで! それじゃ」

そう言って立ち上がると、十三夜さんは言った。

「美月お嬢様、でしょ?」

僕は立ち止まった。何故それを・・・?

「お嬢様がボソッと言ってたあの弓張くんですか。思ってたよりパッとしないですね・・・」

「な、何で望月のこと・・・?」

「ああ、言い忘れていましたね。私、美月お嬢様の執事、とでも言っておきますね」


望月が財閥の娘だってことを忘れていたわけではない。

記憶の片隅に追いやられていただけだ。

執事? どう見ても一般人のようにしか見えない。

「あの、疑っているわけじゃないですけど、本当に執事なんですか?」

「さっきの名刺、よく見て」

もう一度もらった名刺を見ると、上に望月家執事兼要人警護と書かれていた。

どうやら本当にこの人は望月家の人間らしい。

「ええっと、それで、望月はどこに?」

十三夜さんに尋ねてみると、何も答えなかった。

「おおい! あんたボディーガードなんでしょ!? 何見失ってんの!!!」

「いや、弓張さんがこんなところにいましたから」

「全然、全っ然関係ないですよね!?」

僕達が熱く討論していると、ケンカだと勘違いした駅員と警察官がこちらへ歩いてきた。

「逃げますよ、弓張さん!」

そう言って僕の腕を鷲掴みにしてものすごい早さで駅から離れた。


「弓張も那月も何してるんだか・・・私はここにいるんだけど。まあ、学校へ行こう」



つづく

約三か月ぶりの投稿です。忘れていました。

初めは望月が家から出なくて、弓張が家に行って学校へ来させる話にする予定でした。でも、ずっと更新していなかったらこんな話になってしまいました。

新キャラの十三夜さんは本当に行き当たりばったりで適当に思いついたキャラです。

下手するともう出てこない可能性もあります。

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