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それは満月の日に  作者: 櫟 千一
望月との出会い
7/18

転校生 望月

翌日、教室内は大騒ぎだった。

「おい、今日転校生が来るらしいぞ」

「どんなやつ?」

「昨日教室に入ってきた女らしい」

僕が教室に入ると同時にクラスの連中が集まってきた。

「弓張! あの女の子誰!?」

「何で昨日帰ったんだよ!」

「名前は?」

いろいろと一斉に聞かれて何も出来なくなった。

しどろもどろになっていると、予鈴が鳴ったと同時に担任が来た。

「はいはいみんな座ってー。まあ、昨日あんなことあったからみんなも知ってると思うが、今日は転校生がいまーす。望月さん入ってー」

毎回ダルそうな話し方をする担任が望月を呼ぶ。

しかし、望月は来ない。

担任が教室の外を覗くと望月がいなかった。

「あれ? 望月さんがいないぞ?」

教室がガヤガヤし始めた。


視線が僕の方へ向く前に、僕はこっそりと教室を抜け出し、非常階段へ向かった。

四階非常階段の踊り場の扉を開けると、望月がいた。

「何してんだよ。教室が、お前がいないから大騒ぎだぞ」

「・・・・やっぱり、転校生として紹介されたくない・・・」

目に涙を溜めて、嗚咽交じりに望月は言う。

僕は、頭を掻きながら言った。

「心配しなくてもさ、お前のこと、みんな知ってるから大丈夫だよ。昨日、教室に入ってきたんだからさ。顔は普通にバレてると思うぞ?」

「えっ」

彼女は驚いている。

「僕の席にやってくるまでに、クラス中のやつ、お前の顔を見てると思うし。多分、名前だけ言えば大丈夫だよ。お前、結構可愛いからすぐに人とも触れ合えるよ。現に、僕と初めて会ったとき、望月から話しかけてきたんだしさ」

彼女はしばらく外の眺めを見ていたが、意を決したように僕の方を向いた。

同時に、望月の長い髪が風に揺れる。

「弓張。私、教室に戻るよ。頑張ってみる」

「僕もいるから、安心して」

僕と望月は教室へと戻った。


教室が近付くと、望月の表情が固まっていた。

「大丈夫だよ。何なら、横に僕もいるから」

咄嗟に言ってしまった。

僕は何を言っているのか。すぐに否定の言葉を言おうとするが、遅かった。

「良かった!! じゃあ、弓張、横にいて!」

そう言って、僕の手を引っ張りながら教室に入った。

担任は望月探しに行っていなかった。

僕と手を繋ぎながら壇上に登った望月は、言った。


「て、転校生の。も、望月・・・・・美月、です。えっと、その、よ、よよよろしくお願いします!!」


言い終えた後、歓声が響き渡る。

席が分からないから困っていると、僕の横の席の女子が席からいなくなっていた。

「弓張くんの横、使って良いよ」

横の席だった女子は、仲の良い友達の近くへと勝手に移動したのだとすぐに察した。

自分たちの席に向かうだけでもみんなからはやし立てられた。

望月は平静を装っているが、僕には無理だった。

始終顔が真っ赤だった。




つづく

2ヶ月ぶりの投稿です。

最近はネタが尽きてきて何も書けませんでした。

またこう言う不定期更新が続きますが、よろしくお願いします。

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