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それは満月の日に  作者: 櫟 千一
望月との出会い
5/18

彼女への尋問

一時間目で使われない化学実験室で望月美月の尋問が始まった。

「えっと。望月・・・美月さん?まずは単刀直入に聞くけどさ。何で学校来てなかったの?」

「あ、えっ、んっと。そ、その。ち、父の設立した学校には・・・行きたくなかったって、言うか・・・その」

目が泳ぎまくってる。ついでに両手の人差し指をツンツンしてる。僕と話したときと同じだ。

「え?お父さんが設立?どういうこと?」

「いや、あのえっと、その、わ、私は理事長の娘だから、その・・・と、とにかくパパ・・・じゃなくて父と話せばわかりまふ!!」

思い切り噛んでるし。

「と言っても俺は新任教師だから全然分からないんだよね」

じゃあ何で聞いたと言う視線で望月は担任を見ている。

「普通に望月の携帯で望月パパに聞いてみれば良いんじゃないの?」

「お、弓張。たまには良いこと言うな。じゃあ、望月さん。お願いしても良い?」

「ででで、でもここで電話したら携帯没収されちゃうんじゃ・・・・?」

「お前は何でそう言うところ詳しいんだよ!」

思わずつっこんでしまった。高校来てないのにそう言うことは知ってるって・・・

「駅で女子高生が『また先生に携帯取られた』とか言ってたし・・・」

「なるほど。そう言うところで情報手に入れてるのか。てっきりネットからかと思った」

「良いから早く電話してくれ・・・」


望月はポケットからスマートフォンを取り出して素早い動作で画面をいじくり回して、一連の動作を終えた後にスマートフォンを耳へと近づけた。

「あ、もしもし?パパ?あ・・・今学校だって。うん。うん。あの。そんなの良いから。だからさ、話を・・・あー!もう!!」

携帯を耳から話して赤い通話終了と言う赤い部分に触れて電話を切った。

「・・・えっと?お父さんは何と?」

「え?『お前から電話なんて一生来ないと思ってた。今日は赤飯だ』と」

「そ、そうか・・・」

先生が呆れているのが丸わかりだ。て言うか望月って絶対にお父さんに似たよな。

「と、とにかく。望月さんは明日転校してくる子だったけど一日間違えたってことにしておくから。それで良い?」

「は、はい」

結局、望月パパ理事長説認めるのね。


望月は強制帰宅させられた。明日、望月は転校生として紹介されるそうだ。

その後、教室に戻ると僕は一限遅刻扱いになった。理不尽すぎる。

教科書やノートを出していると前の席のやつが手紙を渡してきた。

「弓張、後で大変なことになるぞ」と書かれている。宛先がないのが若干疑問だが。


一限終わった後、手紙通りクラスではあまり目立たない僕の周りにクラスの連中がドッと集まってきた。

「弓張!あの女の子誰!?」

「お前の彼女?」

「結構可愛いな!!」

「あの後どこ行ったんだよ!!」

などその他望月に関することを聞かれた。

こんなこと滅多にないどころか経験することもないと思ってた。

頭が回らなくなり、僕はカバンを持って走って職員室へ向かった。

職員室の出入口を勢いよく開けて担任の元へ向かう。

「せ、先生・・・僕・・・今日、早退して良いですか・・・」

「何?どうしたの?そんな血相変えて」

「このままじゃクラスのみんなに殺される気がするんです」

「そんな理由じゃ早退は無理だな~」

「お願いします!奉仕活動でも何でもします!明日から望月の世話とかもしますから!!望月関連は全て僕に!」

「んまあ、何となくどうなったか分かるけどね。良いよ。今日は帰って」

「ありがとうございます!!」

「そのかわり、奉仕活動忘れんなよ」

「はい!!」

職員室を出る前に廊下を確認。遅刻したであろう生徒が怒られている姿しかない。

素早く廊下に出てこっそりと生徒玄関へと向かう。

急いで生徒玄関へ向かい、僕は靴を履きかえて玄関から出ると同時に二限目のチャイムが鳴った。


いやー授業サボるってのも悪くないなーなど不良丸出しのことを思いつつ校門を出る。

「弓張」

「ひゃあん!!!」

思わず変な声が出てしまった。

「わあ!!そ、そんなにびっくりしないでよ」

一瞬誰か分からなかったが望月だった。

「な、何でお前いるんだよ。帰らないの?」

「弓張を待ってたのよ」

「何で?」

彼女は何も言わなかった。

「よく分かんないけど僕の家近いしとにかく僕の家に行こう」

そう言って彼女を我が家へと招待した。

まさか女の子をを招待することになるなんて思わなかったな。


歩いてる時は何を話せば良いのか分からなくて無言だった。お互い何か話すだろうと思っていたのかもしれない。

しかし、改めて見るとこいつ・・・制服が似合うな・・・

うちはセーラー服だから望月みたいに長い黒い髪の女の子が着るとよく映える。

ジッと見ていると望月が気付いた。

「な、何ジッと見て・・・」

「いや・・・お前の制服姿、似合うなと思って」

つい本音を言ってしまった。

「バ、バカじゃないの!?わ、わわ私に似合わない服なんてないんだかんね!!」

「何言ってんの・・・」

「し、信じてないの!?もう!!」

そうこうしてるうちに我が家へ到着した。初めて異性を家に入れるからドキドキしてきた。



つづく

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