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それは満月の日に  作者: 櫟 千一
望月との出会い
3/18

弓張 悠と言う男

幸運にも九月一日は土曜日だった。学校が始まるのは九月三日からだった。

僕はこの土日で宿題を終わらせた。

金曜日、望月と別れた後、クラス委員兼生徒会副会長の友達から宿題一式を借りた。

生徒会室は冷房完備でほぼ毎日生徒会の仕事で学校に行っていた彼は七月中に終わらせたそうで。

宿題は日曜まで続いた。しかし日曜と言っても日を跨いだだけなので土曜の二六時ごろに終わったと言うべきだろう。

その後、僕はすぐにシャワーを浴びて眠りについた。


目が覚めると九月二日午後三時だった。

焦った。かなり。夏休み最後をほぼ睡眠に使ってしまったことに酷く後悔した。

下に降りると家族は出かけていた。結局夏休み最後も一人ぼっちと言うわけだ。

クラス委員兼生徒会副会長に宿題を返しに行き、ダベっているとあっという間に日は沈んだ。

明日からはまた学校か・・・そんなこと思いつつ僕は一日、いや半日も経ってない九月二日を思い返し眠りについた。



目覚ましのアラームが僕の脳内に響き、嫌々目を開けてアラームを止める。

毎朝「絶対心臓に悪いよな・・・」と思う。

下に降りて食パンを焼いて、コーヒー牛乳を注いで朝のどうでも良いニュースを見る。

楽しみにしているコーナーの前にパパッと食べて顔を洗い、歯をみがき、そして約一ヶ月ぶりに袖を通す制服。

それを着用し、カバンを持って僕は毎朝楽しみにしている料理コーナーを見て登校。


月校から我が家は徒歩圏内にある。十五分ほど歩けばすぐそこにある。

小さい頃は「この学校に行ってあの人たち(当時の月校生)みたいになりたい!」と思っていたけど

どうしてこうなっちゃったのかねえ・・・

確かに僕は成績も良くなければ特別スバ抜けてスポーツできるとかそんなのは一切ない。断言できる。

学校では数人の友達とアニメやマンガの話、その他変なギャグなどを披露しあいながら細々と生活している。

類は友を呼ぶとはよく言ったもので僕の周りは本当に僕みたいやつがたくさん集まった。

その中に先ほど登場したクラス委員兼生徒会副会長もいるんだけどね。


教室に入るとやはりガヤガヤしている。

夏休み何してただの旅行行っただのそう言うのはもう良いよ。

僕も僕で話しかけられるのでテキトーにその場にあうような会話をしていく。

やっぱり定番は「夏休みどうだった?」だけど僕は毎年「今年も最高の夏だった」と嘘を吐く。

この言葉を使うと食いつくのであとは何でもマンガで見た話でも織り交ぜて話せばそれっぽくなる。


予鈴が鳴った。

担任が入ってきたと同時にみんなあわただしく自分の席に着く。

僕も僕で後ろの席について担任のどうでも良い話を聞く。

「よーしお前らー。宿題出せ。やってなかったり忘れたりしたら奉仕活動だからなー」

待ってましたと思わんばかりに僕は机の横からカバンを取り出し机の上に置く。

まあ、僕はそんなことないですよ。前々日に頑張りましたからね。

カバンのジッパーを開ける。弁当、筆箱、教科書、ノート・・・



宿題『だけ』忘れた・・・



ええええ!?何これ何これ何これ!!?シャレになんねーよ!!?

「弓張?どうした?もしかして」

担任がニヤニヤしながら言ってきたので

「やりました!!」

教室中からドッと笑い声がした。僕は赤面しながら必死に「やりましたって言うのは宿題のことで」と言うが誰も聞こえていない。

「よし!弓張は奉仕活動決定!!」

え?て言うかみんな宿題出してるの?そこに驚きだよ!!


「えーっと・・・忘れたのは弓張だけか・・・な?」

担任が名簿を確認してるときに教室に1人入ってきた。

クラス中全員が前の出入口に注目する。

ひそひそと「誰あれ?」「転校生?」など聞こえてくる。

担任も困っている。

「え~っと・・・一年生?教室違うぞ?」

だが、僕だけ知っていた。彼女は・・・

「望月・・・?」



僕のクラスにどういうわけか望月美月がやってきたのである。



つづく

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