子供の成長なんてあっという間
レイ視点です。
まあ、そんな感じで転生して、なんやかんやあって、俺は立派に成長し、現在27歳、俺には勿体ないくらいの超美人な奥さんと超可愛い娘と暮らしています。
え?展開が早すぎる?いやいや、赤ん坊の成長スピードを侮ってはいけないな。ついこの間生まれたと思ったら、すぐに首がすわるし、寝返り打つし、お座りだってできるんだ。そうなったら話すし、歩くし、走る。どんどん成長して、あっという間に妻子持ちだ!
…………さすがにないか、そんなに早くは。人生いろいろだもんな……。
俺の第二の人生も、いろいろあった。意外に波乱万丈だった。
今生での俺の母さんは、ナタリアっていうブロンド美女だ。初対面で泣きながら謝られたけど、その後はそんなこともなく、恥ずかしいとも思わなくなるくらい愛情深く育ててくれた、めちゃくちゃいい母親だ。外見や名前からわかるとおり、外人さん。なんと俺は、イタリア人になったようです。だから俺もブロンド。
……はっきり言って色負けしてるよ、絶対!!!母さん譲りの豪華なブロンドは、元日本男児の俺には精神的にも似合う訳がない!!!
瞳の色は、母さんとは違うらしい。らしいっていうのは、俺があんまり鏡を見ないから。前世で女系家族だった俺は、その時の母さんや二人の姉、そして妹の計4人を押し退けてまで鏡を見ようとは思わず、鏡の必要性を感じることがなかった。
まあとにかく、今の母さんはブロンドによく合うブルー、俺はアンバーという、……なんていうんだ?明るい茶色っぽい黄色っぽい色?をしている。それは父さん譲りらしい。
そういえば父さんだけど、父さんがいないことに気付いたのは、俺が3歳の時だ。普通の3歳児ならそれぐらいかもしれないが、俺は普通の3歳児とは違う。けれど、3歳のころだった。
……いや、なんていうか、イタリアの母親は強くてさ。肝っ玉母ちゃんっていうの?すっげぇたくましいんだよ。
俺は母さんと、助産師で俺を取り上げてくれたマリアおばさん、他に数人の母子家庭の親子と共同で生活してたんだけど、みんなタフで、父さんがいなくても別に問題なかったんだよ。こんなこと言うと、世の中の頑張っているお父さんたちに悪いけれど、しっかり者の母親がいれば、家庭は円満というかやっていけるというか……。まあ、そんな感じ。
実際、あれ?俺の父親ポジションの人見たことないな、と気づいたのは、みんなで住んでいた家が雨漏りして、修理しなきゃってなった時だったからな。3歳だったけど、前世の年齢加えたら成人済みの俺としては、危険な屋根に母さんやマリアおばさん、いつも世話になってるみんなを登らせるなんて、そんなことさせられなかった。そこで男手が必要になって、近所のおじさんに来てもらって、雨漏りが直ったところで、そういえば父さんって……って思ったんだったな。
母さんに直接父さんのことを聞いたわけじゃないけど、父さんって……って思った時の顔を見られたのか、その日の夜、母さんが話してくれた。父さんは生きてるけれど会えなくて、愛しているけれど一緒にはいられないこと。自分から父さんと離れて、実家とも縁を切って、一人で俺を育てると決めたこと。
……母さんがなんかワケありっぽいのは気づいてたけど、思ったよりいろいろあるらしいと気づいた日だった。っていうか、3歳児にそんな話する母さんは……なんていうかこう、凄いなと思った。
まあ、俺には母さんがいればいいな。……そこっ、マザコンとか言うな!!!イタリアの男はみんなマザコンだ!!なにせ、「マンマ・ミーア」だからな!母さん大好きだ!!なんか文句あるか!これは俺が立派にイタリアの男として成長している証だ!!!まだ一応3歳だけど!!!
――――それに、あんなに愛してもらって大切にしてもらって、なんで嫌いになれる?生まれてから3年しか経っていないのに、もうすでに溢れんばかりの愛情を受けている。どんどん好きになることはあっても、嫌いになんてなるはずがない。
そのことはきちんと伝えたくて、その同じ日に、俺なりの言葉で母さんに「愛してる」の気持ちを告げた。
「――――……レイ……!!!」
…………母さんも、立派なイタリアの母親だった。あんなに華奢なのに、俺のマザコン発言に感激して抱きしめた腕の、あの強さ……。
あはは……端折りすぎて意味わかんないですよねごめんなさい!!!でも、これは最初から予定していたことなのです……。27歳のレイ君が第二の人生をさらっと振り返るのがテーマなのです。裏テーマもあるのですが、それはまだまだ先なので、その時に。
今回の補足は……このイタリアは現在のイタリアではなく、私がイメージするイタリアっぽい雰囲気という自分勝手すぎる想定なので、想像しにくいことこの上ないと思いますが、お付き合いくださいませ。補足について、今回はこれぐらいで大丈夫かな、と思うので今はそんなに書きませんが、「わかるかボケェ!!!」という方が居られましたら、できればオブラートに包んでご指摘いただければ、と思います。




