10年後の彼女
番外編第二弾、10年後シリーズ(←勝手に命名)二人目です。
ダディの前にビアンカさんを。
「ねぇナタリア……。私はあの時、どうするべきだった……?……どうか、教えて……」
ナタリアの墓前でそう呟いてみても、当たり前だけど、誰も何も言ってくれない。
レイがいなくなってからの十年間。ここに来る度に投げ掛けている疑問……。答えはまだ、見つけられない。
ごめんね、ナタリア……。私、あなたにあの子――――レイの事を託されたのに、守ってあげられなかったわ。……いいえ、守らなかったの。あの子なら大丈夫って勝手に思って、守ろうとさえしなかったのよ。
……ヴィンセントだったら、どうしてたのか。そう考えた事もあるわ。
きっと、どんな事をしても守ったはず。――――だって私は、母親だもの。
……そう考えると、私って本当にひどい母親だわ。あの子にも、私はあなたの母親よなんて言っておきながら……。
ねぇ、ナタリア……。私、レイがいなくなって、あなたが屋敷を出ていった時の事を思い出したの……。あなたがいなくなった時みたいに、心のどこかにぽっかり穴が開いた気がするのよ。私がそんな風に思う資格なんて、きっとないんでしょうけど……。
あなたが戻ってきたみたいに、あの子も――――レイも、戻ってきてくれるかしら……?もう十年も……あなたがいなかった時の倍も、時間が経ってしまってるけれど……。
今、スチュアートが一生懸命レイを捜してるけれど、全然見つけられないの。
本当に、あなたにそっくりね……。ふたりともこうと決めたら、何でも自分で、徹底的にやっちゃうんだから……。
今回も短め……。
ビアンカさんは、親友の息子であり、義理の息子であるレイ君に対して、後悔しっぱなしです。ナタリアお母様に対しても申し訳なく思っています。
当時は自分がなんとかしなきゃ!という発想はなかったのですが、時間が経つにつれて、あの時何かできたんじゃないか、でも何をすればよかったんだろう……という気持ちがむくむくとしてきたのです。
まぁレイ君は中身が純然たる子供ではないので、ビアンカさんもいろいろ大変だと思いますが。




