元気な男の子です
主人公視点です
声が、聞こえる……。
なんだろう、なんか、熱いというか、だるいというか……疲れた……。
――――…って、うおぉっ、ふ、浮遊感……っ!!だめ、俺こういうの苦手……!やめてー、揺らさないでー!!だめだって、もっと、そっとゆっくり……っ、じゃないとなんか出てきちゃうか―――
「おめでとう、ナタリア。男の子よ」
…………はい?え、と……おめでとうございます?何かわからないけど。ナタリア、さん……というのは、目の前の、この金髪美女?で、男の子って…………俺ぇっ!?
結論から言うと……はい、俺でしたー……。あ、ナタリアさんは俺の母親らしい。
――――えぇえええっ!?って感じだよね……。俺もえぇえええっ!?って感じだよ……。
なんか、いろいろ……三途の川とか閻魔大王とか、そこら辺をすっ飛ばしたらしい……。っていうかまず、死んだ自覚もないんですけど!!!俺いつ死んだ!?
車がこっちに突っ込んできたところは覚えてる。マジビビッて一歩も動けなかったし……。いやぁ、今思い出しても顔が引き攣る。あの時の顔も……盛大に引き攣ってただろうなぁ。
……せっかく、せっかく大学合格したのに……っ!!夢にまで見たキャンパスライフで、目指せ友達100人……は無理でもせめて1人計画立ててたのに……!!!
あぁそうだよどうせ友達いねぇよ、友達いない歴=年齢だよ、チクショー……。小学校も中学校も高校も、みんなに遠巻きにされてたんだ、俺は……。だから受験勉強頑張って、日本で比較的有名な大学目指したんだよ……。そこだったら学生多いし、友達できるかなぁって期待したんだよ!恥ずかしいな、チクショー!!
合格して、浮かれすぎてたらしい……。「楽に三途の川渡れるぜ!」的なこと考えたから、気づかないうちにすっ飛ばして生まれちゃったらしい……。
…………あれ、おかしくね?なんで俺、記憶あんの?
まさかこれ……転生ってやつ?
……いや、ないな。ないない。そんなのあるわけないって。…………でも俺の中の今まで培ってきた知識が叫んでいる。
『転生だよ、これ』
あぁぁあー、俺のバカ!なんでそんな知識を手に入れた!!いくら友達いなくて時間が有り余っていたとはいえ、ネット小説読み漁って「転生」なんて言葉を知識として蓄えておくなんて!!
あぁ……もう、これからどうすえぇえええっ!?なんで泣いてんの!?すっかり自分の世界に没頭しちゃってたけど、俺今、ナタリアさんに抱っこされてんだった!!超美人さんは泣いた顔も綺麗だけど……この人に涙は似合わない。この人には笑っててほしいなぁ……。
「ごめんね……」
うー……なんで謝られるかわかんないけど、でも、謝るより、笑ってくれる方がいいんだけど……。ちょっ、身動き取れない……!もどかしいな、赤ん坊は!!
「ごめんなさい……本当に、ごめんね……」
笑ってー、笑ってくれー、笑えー、笑うんだー……!
「っ……」
泣きそうに謝っていたナタリアさんが、息をのんだ。え、俺変な念送りすぎた!?毛布みたいなのにくるまれて動けないから、眼力で笑えーって念飛ばしてたけど!
「ごめんね……ありがとう、私の坊や……レイ……」
そう言ったナタリアさんの表情は、儚げで、消えてしまいそうだったけど、確かに微笑んでいた。
やっぱり美人には笑顔が似合うな!
高校生、高崎怜は死んだ。そうして俺は、彼女の息子、レイとして誕生した。
つ、拙い……。拙さ満点だ……。
書いてる最中、いろいろ端折ってるけど気にしない精神を発揮してしまったので、わかりにくいところがありまくると思います……。そういう点は遠慮なくご指摘くださいませ。あ、でも私の心は防弾ガラスを採用していないので、オブラートに包んで頂けると幸いです!
わかりにくいと思うので説明を……。レイ君は自分に対する評価が低めです。そして鳥さんの心臓です。そして自己表現がヘタすぎます。だから周囲には、彼の内面を知られていません。友達がいないのは、気安く近づくには美形すぎるし、雰囲気が一線を隔しているからです。