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幸福を示す羅針盤  作者: 夏波
本編
23/39

こういう時こそ部下に相談

レイ視点です。


 ヴィンセントの反抗期に動揺しつつも立ち直った俺だけど。……いやでも、反抗期って第二次とかあるんだったよな。あ、あんな恐ろしいものがもう一回来るなんて……!俺……次は耐えられるかな……。自信ない……。



 本当に、世のお父さんお母さんを尊敬するよ。弟の反抗期で大ダメージを食らった俺としては、これが息子とか娘からのになるだなんて……想像できない。いや、したくない!今だけは静まれ、俺の想像力!!











 今回の事をきっかけに、将来について考えないとなぁって思ったんだ。ヴィンセントがボスになった時、俺はどうしてたらいいんだろうって。一番良いのは多分、ヴィンセントを支えることだよな。けど、俺にそんな事できるか?いや、可愛い弟を支えたい気持ちはあるけど、それだけじゃどうにもできない事ばっかりだろうし、俺にとってのグレンみたいに、ヴィンセントにも部下が付くだろう。その中に混じって俺が何かしようとしても、大した力にはならないし、何よりヴィンセントも含めて周りが困ると思うんだ。ボスの兄に、命令なんてできないって事で。


 ボスの家族っていうのは、それだけ価値があるみたいなんだ。俺みたいなだめだめでビビりなチキンでも、ボスの息子や兄だから、敬意を持たれるというか、大切にされるというか。まぁそんな感じ。



 だからやっぱり、ヴィンセントの側に居続ける事は諦めるしかないと思う。なんていうんだろう……こう、……草葉の陰から見守ってるよ、みたいな?……なんか違う気がするけど、まぁ居ても邪魔になるだけだから、近くには居られないって事かな。無理に側に居て、邪険にされるのも哀しいし……。


 となると問題は、いつ屋敷を出ていくかだな。……っていうか俺、出ていけるかな……。






 ……俺実は、4歳で屋敷に連れてこられてから12歳までの間、屋敷の外に出た事って片手の指の数ぐらいしかないんだよ。どこの箱入り息子!?ってぐらい、屋敷の中で過ごしてるんだ。まぁほぼ毎日訓練と勉強があるから退屈した事なんてないし、何もない日もあるけど、大抵訓練での疲れが抜けなくてボーっとしてたり、お母さんとお茶飲んでたり、ヴィンセントと遊んでたりしてるから、外に出ようとも思わない。それに何より、屋敷が無駄に広いから、外でなくてもいいんじゃないかって思えてくるんだよ。移動だけでも時間がかかるんだ。敷地内専用の車で移動とか、驚いたのは最初の頃だけだ……。それに、父さんがヴィンセントのために作らせた遊園地が敷地内にあるしな。わざわざどこかに行かなくても屋敷内で楽しめるんだから、外出する必要なんてないよなって思うし。

 俺が外出したのは、父さんと一緒に住む事になった日の次の日と、……母さんが死んだ日の2日後と、あとは父さんに連れられてどこかに行った時くらいだな。



 何でか知らないけど、なんか俺の周りは厳重なんだよ。どんな時でもグレンが側にいるし、屋敷の敷地内での移動はグレンも含めて最低3人付く。外出の時は、最初の外出はラウルさん一人だったけど、それ以降はもう、え?何人いんの!?ってぐらい多かった……。まぁそれは、父さんもいたからかもしれないけど。



 俺がボスの息子――――長男だからなのか、それとも俺がボスの息子なくせに弱すぎるからなのか。うん、後者だな。じゃなきゃそんなに厳重に守られたりなんかしないだろ。


 そんなこんなで、外の世界はおろか、屋敷の門までたどり着けるかどうかさえ怪しい。出ていくとしたらやっぱり、かっこよくそっと出ていきたいと思う。それが、敷地内で迷子だなんて……恥ずかしくて悶え死ねる!


 どうするかな……。出ていく時期も決めなきゃいけないけど、その前に出ていく方法を考えないと。






 あ、その前にまず、ヴィンセントが次期ボスって、周知させないと!

 俺が思うよりもボスの長男パワーはすごいみたいで、まだ俺の事を次期ボスって思ってる人が多いんだよ。俺のだめだめっぷりは知ってるはずなのに、それでも俺を立ててくれようとしてるのは、正直嬉しい気もするけど、ゼフィレリのためにはならないと思うんだ。まだヴィンセントが小さいから、俺がいるのにヴィンセントが次期ボスっていうのを認められない人もいるみたいだけれど、そんなのすぐに問題じゃなくなるはずだ。



 だってヴィンセントはかなりしっかりしてる。俺がビビりつつも流れで始めた訓練を、ヴィンセントは自分からやりたいって父さんに直訴したんだって。しかも戦闘訓練は、泣きながらもきちんと教師に立ち向かってるって聞いた。俺は逃げてばっかりだったっていうのに。射撃訓練も、掠ってるのも含めて全弾ターゲットに当たってるらしい。……俺は未だに、一つしか当てられないのに。あれ?おかしいな、なんか涙が……。




 とにかく、ヴィンセントは俺なんかよりすごいところがたくさんあるんだ。小さい頃からそんなにできてるんだから、将来が頼もしいよな。能力の面でも、性格の面でも、しっかり部下の心を掌握できるはずだと思う。






 さて……。どうしたらヴィンセントを次期ボスだってみんなに周知させて、俺が穏便に屋敷を出ていけるんだろうか……。うーん……。











 …………。……グレンに相談するか!


レイ君いろいろ考えてます。斜め下から(笑)

ラウルさんとのお出かけ、実は隠れて後ろに5人ぐらいいたというどうでもいい裏設定つき。その中にダディがいたかどうかは秘密です!


次回は、グレンさんにレイ君が相談です。

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