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幸福を示す羅針盤  作者: 夏波
本編
12/39

息子やるのも大変だ

引き続きレイ視点です。

 そんな感じで今までの生活に別れを告げて、新しい人生を歩みだした俺なんだけど。なんていうかまぁ……率直な俺の意見は、価値観って、こんなに違うものなのか?ってこと。



 今までの償いっていう意味があるんだろうけど、父さんが全力で父親らしいことをしようとするんだ……。いくらビアンカさんに罵られ、詰られていても、父さんはマフィアのボス。その全力ってのは、俺の想像を軽く超えて、もはや世界記録が出てるんじゃないかってぐらいなんだよ……。




 例えば、何が好きか聞かれた時の事。ここに生まれてからはそんなに読んでないけど、前世で大親友だったぐらい、俺は本が好きなんだ。だから本って答えたんだけど、…………次の日、図書館建てるための業者が来ていると知った俺の驚き具合、誰かわかってくれるだろうか……。

 一応言っておくと、屋敷にはすでに立派な図書室がある。専属の司書がいるくらい、広くて蔵書数もたくさん揃った立派なのが、もうちゃんとあるんだ。それなのに父さんはもう一つ、しかも独立した図書館を作ろうとしたんだ……。あ、もちろんやめてもらった。


 じゃあ、何か欲しいものはないか?って聞かれたんだけど、さすがに慎重に考えたよ……。無邪気に「犬が欲しい」って言って100頭連れてこられたら困るし、「ゲームやりたい」って言ってゲームセンター作る計画が立ったら、今度は止められるかわかんないし。……ただ、そうなるとなんて答えたらいいのか思いつかなくて。それを父さんは遠慮してるのかって思ったらしくて、こんなのはどうだ?って色々提案してくれたんだけど……。はっきり言っていらない……っていうか必要ないだろ!っていうものばかりだった。だってそうだろ!?何が欲しい?別荘か?城か?島か?パイロット付きの専用ジェットでもいいぞ、なんて言われたら!!プレゼントの単位がおかしいだろ!!



 結局、無難に「父さんと過ごす時間が欲しい」って言っといた……。あ、何時間も時間空けられたら俺も周りも困ると思ったから一時間だけな!それでも父さんすっげー感動してたよ……。形あるものだとどうなるかわかんなくて怖いから仕方なく……って思ったことは一生黙ってようと決めた。

 って言っても、父さんと何話せばいいか苦労したよ……。だって二人きりだぜ!?俺のコミュニケーション能力は0だ。むしろマイナスなんだ!どうすんだよ俺!!――――とか思ってたら、気づいた時には父さんとトランプしてたからびっくりした……。いつの間に!?って思ったよ。父さんがポーカーとかブラックジャックとか、いろいろ教えてくれて、意外に楽しい時間を過ごせたのは嬉しかった。いまいちルールが覚えられなくて、やり方あってんのかは不明だけど。……いくら相手が父さんでも、もう一度ルール教えてなんて頼めません。だって怖いんだよ、まだ!!父さんはサングラスなくても十分貫禄があって、直視できないんだ俺は!父さんの顔を見てビビらない程度に慣れるには1年かかった……。これも一生言わないでおこう。






 屋敷に慣れるのは比較的早かったかな。いや、迷子になりそうなくらい、かなり広いんだけど。でも逆に、広すぎて迷子になってることに気付かないぐらいっていうか……。とにかく俺は、一度も迷子になったと自覚してない!!

 まぁ未だにあんまり人とすれ違わなくて不安になったり、本棚に銃が並べてあって驚いたりするけどな。……いや本当に。俺、本棚って本を並べておくものだって思ってたんだけど……。ま、間違ってないよな……?本棚、だもんな……!?

 でも何であんなところに銃があったんだろう。一度案内してもらってから怖くて一度も近づいてないけど、屋敷にはちゃんと武器庫がある。あれ?ちゃんとってなんかおかしいな……。普通の家にはないだろ!――――……とにかく、弾薬は保管方法が悪いと使えなくなるから、銃はきちんとその武器庫に保管されてるらしいのに。…………まさかのディスプレイ?あれか、金持ちの家の暖炉の上にありがちな飾りか!あれ意外にかっこいいよなー。装飾された剣が交差してるやつ!もしかしたらあれの本棚用なのかも。俺には理解できない感覚だけど、ありえそうだ。






 俺が屋敷に慣れた頃ぐらいから、勉強も再開した。今までやってた読み書き計算に加えて、座学では帝王学、読心術、銃器類の扱い方、怪我の応急処置法、毒の対処法。実践では一対一の素手または武器を使用しての戦闘訓練、射撃、小型ナイフを使っての投擲、などなど。

 ……明らかに読み書き計算以外がおかしいってことは気づいてる。俺だってちゃんとわかってるよ……!だからってやりたくないなんて言えると思う!?無理!!音速で答えられるよ、無理だって!もちろんちゃんと勉強してるよ……。身に付いてるかは聞かないでくれ!

 でも意外に楽しいってのは、驚きだった。俺はもともと勉強するの苦じゃないし、体動かすのも嫌いじゃない。名前は物騒だけど、めったに教えてもらえないことを学べるってのはいい。



 ……ただ、どうしても射撃は苦手だ……。戦闘訓練は、たぶん相手も俺がボスの息子だからって手加減してくれてるだろうし、投擲はすっげー熱心に教えてくれてるからそこそこ上達してると思う。ただ、射撃だけは……。撃つ時の音と衝撃がいつまで経っても慣れなくて、毎回ビビりまくりなんだよ……!それに何より、結果を見た時のセストさんが恐ろしい……!!セストさんっていうのは、射撃の先生なんだけど。父さんより年上っぽそうな強面のセストさんが……毎回毎回、ターゲットに一個しか穴が開いてないのを見て呆然とするんだよ!!最近じゃプルプル震えてるから、俺のだめさ加減にかなり怒ってるに違いない……っ!!






 俺にはやっぱり跡継ぎなんて無理だ……!!


レイ君視点ですが……会話がひとつもない!!あれおかしいな!?あ、そういえば前の話もそうだった!!……。


ダディは初息子のために何かしたいのですが、空回ってしまうようです。でも私だって島は欲しくない。他のは……ちょっと検討させてください(笑)


レイ君は頭は悪くないのですが、考え方が斜め下からなのです。さすがにディスプレイはないと思うよ。

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