第八話 奇妙な絵
「エルトリック、入るぞ」
エドリックはエルトリックの部屋のドアを開け、部屋に入った。
エドリックの眼に最初に飛びこんだものは、部屋に貼られている数枚の絵と文章だった。
画用紙に絵が書かれ、万年筆か細いペンで書いたような文章。
灰色がかった空から雪が降り、地上には赤いドレスを着た片足の女の子が描かれ、白いスペースには文章が。
エドリックが唖然として絵を眺めていると、ベッドに座っていたエルトリックが声をかけた。
「アレックスとエドワードが書いたんだよ。アレックスが絵で、エドワードが文章」
エドリックはもう一度、部屋を見渡す。すると、ある一枚の絵にビックリした。
エルトリックの机の上の壁に貼られている絵だ。
エルトリックはエドリックの視線を追って、自分も机の上の壁に貼られている絵を見た。
ところが、その絵を見た途端、エルトリックはベッドから飛び降り、その絵をはがして机の引き出しに鍵をかけて閉まった。
そして、ベッドへと戻った。
エドリックは何も言わず、エルトリックに布団を掛けた。
「・・・・・・おやすみ、エルトリック」
かすれた声でエドリックはエルトリックにおやすみと言うと、部屋を出た。
エドリックは自分の部屋に入り、さっきのことを考えた。
あの絵は、ニュースで見た十字架のマークだった。そこに、赤いドレスを着た片足の女の子と、黒いスーツを着た赤毛の少年、同じ黒いスーツを着た金髪の少年が描かれていた。
二人の少年は、エルトリックが拾ってきたという人形そっくりだった。
絵の中の少年と片足の女の子は、口もとをゆがめて薄笑いを浮かべていた。
(エルトリックがおかしい・・・・)
エドリックはエルトリックの異変に気がついていた。まだ、心を閉ざしたままだった。
エドリックは机の上に置いてある一通の手紙を見て、思いだした。
「そういえば、明後日、キャサリンの家でパーティーだったな。招待状、OKって返事返したっけ・・・・エルトリックも連れて行けば、状態が良くなるかもしれない」
エドリックはそう考え、明日、エルトリックに幼馴染であるキャサリンの家でパーティーに参加するか聞くことにした。
少し安心すると、エドリックはベッドに横になり、眠りに落ちた。
なんか、すごいことになってきました・・・・・