第二話 異変
「ちゃんと、留守番してるんだぞ」
朝食を食べ終えた俺は、仕事に行く時間になった。
エルトリックにそう言うと、俺は家を出た。十八歳になって、やっと仕事ができるようになった俺は、仕事先の親友・ラードゥルの家に行く約束をしていた。
だから、帰りは遅くなると、エルトリックに言った。
「遅いじゃないか、エドリック!」仕事場につくなり、俺に声をかけてきたのはラードゥルだった。
「弟の世話でね・・・・」俺はそう答えた。
ラードゥルは「ああ、なるほど」という顔をしていた。
俺とラードゥルは自分の仕事を次々と片付けていった。仕事も終わり、俺は、ラードゥルの家に行くことにした。
「じゃぁ、明日な!」とラードゥル。
「ああ、じゃな」
俺は夜の闇の中を歩いて帰った。ふと眼を前に向けると、少年らしき人物が三人、路地に入って行くのを見た。
俺は気にせず、そのまま通りすぎようとしたが、路地から耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきた。
路地からさっきの三人の少年が出てきた。俺はその時、自分の目を疑った。
三人の中の一人に、弟のエルトリックがいたのだから・・・・
雲が晴れ、月が出てきた。その時一瞬だけ、エルトリックに似た人がいた。
俺は動揺しつつも、その路地に入り、悲鳴を上げた人物を探した。
「!!」俺は驚いた。
路地の壁にもたれかかっている、血まみれの人物を見つけた。
俺はすぐに警察に通報した。
それから数時間後、俺の事情聴取も終わり、家に帰れることとなった。
「おかえり、兄さん!」
エルトリックが俺に飛びついた。長い間一人で留守番をさせていたので、淋しかったんだろう。
「・・・・ただいま、エルトリック」
俺はそれだけを言うと、自分の部屋のベッドに、仰向け上になった。
エルトリックに確かめなければいけないことがある。
明日、エルトリックに聞くしかない・・・・・