第十七話 幸せ
パーティーでの出来事は、翌日、テレビや新聞にのるほどの大事件となった。
エドリックとエルトリックは普通の生活に戻りつつあった。
エルトリックは心を開き、今では元気な少年へと変わりをとげたのだ。
あの晩、エルトリックは泣きながら、エドリックに言った。
〃ごめんなさい〃
「エルトリック、買い物に行くぞ!」
外で無邪気に遊んでいたエルトリックを、エドリックが呼んだ。
エドリックの声を聞いて、エルトリックは笑顔で玄関まで走ってきた。
「夜、何が食べたい?」
「えーっとね・・・・シチューが食べたい!」
「じゃぁ、市場に行かなきゃな」
「うん!」
エルトリックは笑顔で頷くと、エドリックの手をギュッと握り締めた。
エルトリックが後から加えるようにして言った。
「あとね。本屋に行きたい。欲しい本があるんだ」
「エルトリックは、本が好きなんだな。じゃぁ、俺も一冊買うか」
「兄さんも、本大好きじゃん」
「まーな」
しばらくの間、二人は笑い合った。
エルトリックはエドリックが願った通り、幸せになった。
エドリック自身も、十分なほど幸せだったのは確かだった。たった二人の家族だけれども、その愛情は、世界中の家族と同じぐらいだ。
例え両親がいなくとも、生きていける、幸せになれる。
二人はそう、思っている。世界中の家族と同じじゃなくても、両親がいなくても、幸せは訪れる。
「兄さん、ありがとう」
「らしくない言葉」
「どういう意味!」
「そのままの意味だけど?」
そしてまた、二人は笑い合った。二人の笑い声は、天国にいる両親にも届いただろう。
だって
街中を歩いていく二人の背中を、そっと両親は、見守っているのだから・・・・・
ついに、最終話です。
自分でもちょっと悲しいです。
最後は幸せを書いてみました^^
もちろん、エドリックとエルトリックの幸せですが。
皆さんも、二人のように幸せを見つけてください!
by アルフォンス