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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
7/50

「少女」につける単語としたらやっぱり過去現在未来全て見てもやはり××しか存在しない―――

《世界ノ》

ビィィーンとブルーグレイの空を彼女は滑空する。雲は黄土色で彼女が雲を通過するとボフンッと穴が開く。時速100kmの飛行は周りの音を完全に置き去りにし、自分だけの音の世界を作り出す。いくつもの大陸と大陸を横断し、正方形の形をした、島全体が全て緑に覆われている島に着地する。


否、着弾した。


ズドンッ! とか、 ドォン! とか、その程度の軽音は鳴ることはなく、その島全体に酷いくらいの振動をもたらした。つまり、着弾の衝撃で島全体が――――揺れた。

海岸に着地した彼女はもうもうと群がる赤褐色の砂煙を箒で一閃し、あたり一面の砂煙を一瞬で吹き飛ばす。

「もぉー、なーにが大丈夫よッ!全然だめじゃないッ!私の学院での滑空魔法の成績知ってるでしょッ!?ッたくー、酷い目にあったわッ!」

砂埃を蹴散らした彼女は―――辺りを見渡す。そして気付く。自分が――何をしてしまったのかに。

島は海岸に50%占められている。その20%を彼女は一瞬で吹き飛ばしたのだ。つまり、彼女の周りには月面の如く痛々しい隕石の衝突のようなクレーターができていた。

だから、彼女は命の危機にさらされていた。

地震とは少し違うが、海に逆向きのエネルギーを加えると、当然その逆向きとは逆向きのベクトルで同じほどのエネルギーが跳ね返ってくる。そして、クレーターができるほどのエネルギーが海に伝わったとすれば、どれほど大きな津波が押し寄せてくるのだろうか。

「ぬぁッ!なんじゃありゃぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!????」

もうその津波は光を与える惑星を覆い隠し、島全体に影を作り、彼女――がいる島ごと飲み込もうとしていた。

青より少し白に近い色の海は一つの集合体となりその色を変え、深青の津波に合流し、剛流となり、島全体を飲み込ん――――d

射砲(レイン)!!!」

ものすごい勢いの津波の真ん中より少し上部を藍色の光が切断した。

その光は真横に薙ぎられ、切断された上部は力を失いただの海水となり万有引力の法則に従って島へただ落ちt―――

炎砲(フレイン)!!!」

莫大な海水は同じく先ほどの光が出た地点から放出され、灼熱の業火を思わせる赤と青のコントラストで海水を貫き、瞬時に蒸発させた。胸を締め付けるような、サウナにいるような温度が辺り一面を蹂躙して、津波と空中の海水は―――まるで始めからそんな事は無かったと言い切れるくらいに無に還っていた。いや、あまりに高い温度で蒸発したのだ。その名残として塩が出来て高温によって液化して海岸に降り注いで蝋のように触れたものの皮膚を焦がす程暑くなってしm―――

水砲(ウォーレイン)!!!」

海の海水が薄い膜のようになり、海岸に降る塩を受け止める。ジュゥーと音が鳴り、塩を溶かした海水の膜の中央がへこみ、崩れ、海岸にまた降る。


「うぅー、最悪だぁーー」


彼女は海水が目に入ったせいか、またまた今の一連の出来事の所為か、目から涙を流していた。

彼女の服は魔術アルカナフィンディ学院の学生服であり、真っ黒のローブをはおっており、胸には刺繍で、


『Magical 11-03-60』と書かれており、その下には『Clare』と黄色の糸で彫られていた。


『 魔術アルカナフィンディ学院 第11年 第03組 第60番 クレア 』


それが、彼女の所属と名前だった。

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