「エジプト」風のBGMってテンションあがるよね。あっ、コレなんかエジプトっぽくないっ?的に。
《過去ト家族》
俺、苛納陀維祐の人生は設定集であると言える。これは重複した文章である。
小説のキャッチフレーズには最適だなー。いや、差異的な内容になるかもだけどな……、そこは御愛嬌。
とまぁ、こんな感じだな俺の人生。
あと数秒いや、一瞬で死んじゃうもん。
もう駄目、全然だめ。痛みで涙が出て滲んだ視界の端では不快な刀が俺の首をはねようとせまって来てるもん。
もんもんっ。
あー、コレが走馬灯的なあれだね。物凄い体感時間が遅くて、思考が加速しまくってるじゃん。
あー―――――…死にたくねぇな。
俺、苛納陀維祐は苛納陀維性質と苛納陀裕焼の間に生まれた二男である。
俺の兄は苛納陀性焼である。
この三人は『俺の最初の被害者』である。三人もいて最初とは何とも可笑しい話だが、まあいい。
俺は生まれた時から仏人であった。仏人の両親と兄。
当然、俺も仏人としての人生を授かったのだろう。
だが、問題はそこではなかった。維性質は放浪家でありいつも旅をして、裕焼はレヴェルイーターにのみ関心があり、それ以外(維性質は除く)の事には無関心だった。
そんな家族だった。
だが、いつからだろう。もしかしたら初めから、俺が生まれてからだったのだろうか。
維性質は放浪を止め、裕焼は俺たち兄弟に関心を持つようになる。
まるで、人間の『設定』を付けくわえたように、ロボット三原則のように、俺たちに関心を持つようになる。
維性質は絵にかいたような母を。裕焼は絵にかいたような父を。
するようになった――否、させられていたのだろう。
俺によって。
赤ん坊だった俺には普通ではあるはずの無い仏人としての特性があった。
そして、『血のつながった最も濃い関係を持つ両親には相性が良すぎたのだろう』。
恐らく、俺はその時に設定したのだ。
俺が小学一年に上がったころ、妹が生まれた。
苛納陀質。
俺の特性は特に兄には向かなかった。俺自身、兄をそれほど望んでいなかったのだ。
いてもいなくてもいい。よき兄でも悪き兄でもよい。その程度の認識。
このころはまだ無意識だったから、幸運だった。
もし、今コレを望み設定を与えてしまったらどう傾くか分からない。
よければそのまま、悪ければ消える。
だが、妹は違った。
質には自分のことを好いていて欲しかった。
この時、俺のこの願いで設定を変えてしまったのだろうか。
妹に好いてほしい、妹は俺の事を好かなければならない。
好くという事はこの当時の俺は俺の為に尽くし、俺の好いた相手の為に尽くす事だと思っていた。
全く、子供っぽい華奢で幼稚な考えだったと再確認する。
仏人としての使命の対象――レヴェルイーターとの遭遇は俺が中学に入って起こった。
レヴェルイーター=アメンという敵。
俺たちの家を襲撃した敵――だった。
完全な不意打ちで何の前触れもなくソコに現れていや現れたわけではなく、両親の首が一瞬で飛んでから敵だと理解した。
「姿の見えない」敵。
アメンと云うのはエジプト神話に出てくる「不可視」の『神』である。
『不可視』。
どれほどコレが恐ろしくどれほどコレが戦う事が難しくどれほどコレが最強かを俺はここで認識した。
不可視は血に濡れたからそこが見えるなんてことはまずない。
見えないのだ。血に濡れているのに見ることが見えない。
兄も死んだ。無残に心臓を貫かれて。
その次は―――俺だった。足がすくんで壁にもたれかかって動けなくて、身体が震えて。
格好の標的だった。
バキリと床がへこみ、俺の方へ徐々に近づいてきたのがわかった。多大なる脅威が覆いかぶさってくる。自分が死に首まで浸かっているのが分かった。絶対的に死を下される。
はずだった。
意を決して眼を瞑り、死を覚悟した―――のに死は訪れなかった。
眼の前には妹の無残な死体が視界に広がっていた。
理解した。
自分がしたことを。
理解した。
自分の欲したことを。
理解した。
自分の特性を。
理解した。
特性の使い方を。
理解した。
相手の殺し方を。
立証した。
レヴェルイーター=アトンを殺した。
設定をして不可視を可視にして。
自らの胸から出てきた刀隷で。
殺した。
走馬灯はこれで終了だろうか。
最も印象に残っている事が……コレか。
複雑奇怪だな。
さぁ、もはやあがくことはない。
死のうではないか。
死だ。
まだ、気持ち悪いが仕方がない。
刀隷は「遣った」が、いつ来るかわからない。
万事休す。
ほんじゃぁまぁ、さよーなら。




