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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
33/50

「ペラペラ」って意味合い的には三つくらい含んでるよね。

《女側》


赤皿藍理と苛納柁維佑は、彼と彼女が××を失っている事を―――知る由は無かった。

だが、ソレを私は知る術を持ってはいなかった。


あたしは弱い。

あたしは強くない。

あたしは最弱。

あたしは最強の逆位置。

あたしは――――――――仏人の中でも最弱を『名乗れる』程に、弱『かった』。


「――――――――――――――――――――…ダレ?」


あたしは突然、普通じゃあり得ない力を行使してこの空間に入ってきた彼女を見据える。

どうしてだろう。

彼女はあたしの事を知っているようだった。

どうしてだろう。

あたしは少し懐かしい気分になっている。

これは、周りの雰囲気に乗せられているだけなのかもしれない。

だけど、『どうしてだろう。』

言葉では表せない、不思議な感覚に不意をつかれた。

喉まで出かかっているのに、どうしてだかわからない感じ。

只でさえ曖昧なデジャヴをもっと曖昧に、グチャグチャにひっかきまわした感覚。

視覚で認識できる感じでは、コーヒーの上に垂らしたミルクの波紋のような。


いけない。


今はそんなことを言っている場合ではない。


「仏ノ組織 代物支部 部長 赤皿藍理 コードΙ(イオタ)、覚えていないの、印人(しるしびと)のくせに。どうしてあの時こなかったの?」


イオタと言われたところまでの会話は理解できる。『その知識は記憶に在る』。が、その先の言葉は理解できなかった。

単純にあたしに記憶が無いからだ。

あたしの印象では、『口うるさい仏人』だった。

はっきり言って、どうでもいいい。

おっと、いが一つ多かった。

このいよりもどうでもいい、

関係してほしくない。

面倒に話がこじれそうだったから。

それに、こちらから話す事なんて無い。

キミはどうやらペラペラと目的とか情報とかをパラパラと相手に与えているようだけど、こっちはそんな余裕はない。

目的が、

今まで存在しえていなかった目的が、

やっと、ようやく、遅咲きで、

『見えたからだ。』

ちょっと違うか。

『現れたからだ。』

そうだ、こうだ。

とにかく、


「誰だか知らないけど、《拒絶》させてもらうよ。あなたの言葉は私には『届かない。』それほどにあったかどうかも分からないあたしたちの関係は《断絶》しているんだよ」


「それって、どうい――――」


そこまで言って、雀のような黄色の声を出す彼女は会話を止めた。


『現実師』


悪いとは思ったけど、使わせてもらった。


まだキミは会話しているけど、いいよね。


「『だまってて』」


「…!…!…!…!…!…!…!…!…!…!」


全く思考が追いつかないといった表情だった。

声が出ず、不意に身に降りかかった出来ごとに、思考が倒潰しているのだろう。

あたしが韜晦してこの現象を教えてあげるのなら、『強制力』と『思考力』を使ったって教えてあげる。

それさえも教えてあげないけど。


「『そのままの姿勢で眠ってて』」


あたしは行使する。

最弱の能力の『現実師』としての能力を。

すると彼女の瞼が滑り台に潤滑剤を塗りたくって滑るように両目を覆った。


無力化完了。


さぁ、邪魔者は処理した。


さっさと探しに行かなきゃ。


キミの方も終わらせてあげるよ。


「『現実放棄(ビット ドリーム)(能動)』」

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