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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
30/50

「ノイズ」を観れる機械ってオシロスコープとか?

《モクテキ》


『名前』が無いんだね。『ど』『う』『り』『で』『こ』『の』『世』『界』『が』『そ』『こ』『ま』『で』『二』『人』『を』『拒』『絶』『し』『な』『い』『は』『ず』『だ』『よ』『。』

《喰》《べ》《ら》《れ》《ち》《ゃ》《っ》《た》《ん》《だ》《ね》《。》《可》《哀》《想》《に》《。》

教えてあげるよ。それならあたしを見逃して欲しいな。コレは約束でなく契約。どうかな、

―――――『名の無い彼と名無しの彼女』?」


怪物は言った。

コレはただの確約。契約。約束ではない。

怪物は言った。

名前を教えると。

俺は―――――、今…迷った。

俺と彼女には××がない。

この言葉は呟くだけで頭にノイズが走る。

ノイズと言うより、もっと毒々しい感覚。眼をつむりたくなるような。

だがソレを彼女は呟いた。

それほどまでに恋焦がれていたモノ。なのだろう。


「名前を喰われた記憶は無いみたいだな。名前を喰われた者は、記憶の欠落に苛まれる。名前を思い出そうとすると、思い出そうとする名前を更に見失い、それがループする」


怪物は、当たり前のことを言う。

俺たちにとっての日常を、当たり前のように言う。異常を通常に。

「うん、そうだよ。で、そんなことはどうでもいいんだよ。あたしたちの名前――――知っているのか否か。それが聞きたいんだ」

彼女は言う。現実師の彼女。

とてつもない殺気が漏れている。


「『|名前を食べる能力を持つモノ《ビィ・イート》』こいつの仕業だ。

名前なんて言う、その存在が『どのように』『どうやって』などと人生を記したものを食べれる容量を持つものは一体しかいない。

なぜ、我々は、いつ我々は、出現し始めた?」


質問がすり替わっている。

だが、核心に近づいているのがわかる。

ちらりと彼女を見る―――――、彼女の口元が動く。


「開示」


と。

ありっ、かなり焦ってる様子だぞ。

無理やりに口を割らそうとしてるのか……もしかして。

まず――ッ。


「止めr―――――――――」


「ギ、ガグエホスゴイスフブ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――、我々は百年前から出現し始めた。なぜだ。それはどこからから一つの丹具が出現したからだ。それは、見たモノを取り込み、永遠の呪縛を与える存在だった。そして、丹具は眠った。丹具は出現したときは膜につつまれて世界を五分視たとされる。だが、その五分で、世界は在るべき姿からかけ離れたものに変貌を遂げてしまったという。そして、近くにいた生物は皆、我らの如き、我らに近似した存在と囚われてしまった。コレが、我らの出現の事実だ。それから、丹具は瞳を閉じ、眠るかのように溶けたという。


そして、一度だけ。数年前、丹具は再び出現した。この時に、全九天の六番目が生まれたとされる。

その時だ。その時に、――――――おにーちゃんとおねーちゃんは名前を奪われたんだ。

丹具の瞳に宿る邪は魔。

魔眼だ。

そして、我らの初期のモノは生まれたときに見たという。

瞳の色を。

『赤』

だった。そして、その見たものは、自らの名前を失ったのだと――――伝えられている。

『第堕天、サーイグナ』

は、名前を失い、囚われてしまったのだと。

初めての、レヴェルイーターという存在を超えた存在を、その時に生み出してしまったのだと。

『サーイグナ』はその後、死んだ。

丹具の瞳により、殺された。

丹具は――――支配した。

堕ちた、その目で堕としたモノを支配した。

『サーイグナ』は魔眼により発動された魔法陣からの高密度のエネルギー砲のようなもので焼き切られた。


話がぶれた。


『|名前を食べる能力を持つモノ《ビィ・イート》』は文字道理名前を喰う。

一部では無く、全体を喰い破る。

そして、そのモノの持つ記憶をどれか奪う。

そして、同時に呪いを与える。

そのモノの周りでは何かしらの不幸が起きるような呪いを。

コレが、我の知っている全てだ。


――――――――――ぐ、ぅgらtぎゃすおgたhぐあhぐあおしghッッ!!!!!!!!!!!! アhシシュぐえぇつッ―――――コォウッ!!!!!!!!!!!!」


「閉示」


遅かった…か。

もう少し使えると思っていたんだけどな。

「すこしは手加減してくれよ。壊れちゃったじゃねーか」

「ごめんごめん。ついつい先を急いじゃった」

「じゃねーよ。まぁ、いいか。ここまで怪物が互いに情報を共有し合っていたなんて驚きだが、十二分に分かった。俺たちの成すべきことが」

「そーだね、まずは見つけるところから―――っん?どうかしたの」

「いや、レヴェルイーターは死んだはずなのに、空間の容量が半分ほどまだ埋まっているんだ」

「それは―――――つまり、もう一体いるって事?」

「恐らくは―――――おいでなすったようだよ。もう一体が」


怪物は、グチャグチャの肉塊に変わっていた。

現実師の彼女の能力で無理やりしゃべらされて、それでも肉体は、精神は反抗したのだろう。

矛盾が起きて分離している。


空間がグニャリと歪み、どぼんっ と体液まみれの何かが出現した。

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