「羊」の肉は一度でいいから食べてみたいッ!
《主動》
『繋がった』
概念が―――別の概念と繋がり、共鳴し、共振した。
ルールフォータスと似た概念を持つ世界。
石板が、変化した。
石板が一冊の羊皮紙で作られた本になった。
その本から上下二つの直径三メートルにもなる互いに互いの対を成すであろう陣、魔法陣を創りだした。
『魔法書』
鈍色の上段の陣、銀色の下段の陣。
多重魔法陣。――――ニ重魔法陣。
クレアの立つ地面と頭上を陣が挟む。
唾液で朱く染まって光る唇が動く。
”フォーマット・スタート”
”コンプリート”
”リンクコネクティング”
”サードシステム アンインストール”
”タッチイン フォーマットオブジェクト・サードシステム”
”―――――コンプリート”
”アクセス・スタート”
”―――――コネクト ”
この作業は言わばプログラムを創るのと同義だ。
ソース文を書き、コンパイルし、エラーが出なかったのなら、実行する。
それと、同じ。
サードシステムと同期し、コピーを作り、サードを除去する。
そしてそのコピーに新たに書き込み、エラーがなかったから実行した。
それまで。
魔法書のページが根元で全て破れ、ざぁあああああ と彼女の周りを舞う。
ページ一枚、裏表、各所に魔法陣が描かれている。
つまり、上下の魔法陣だけではない。四方八方のにも魔法陣が出現しているのだ。
それは、高密度の結界をなす。
世界が繋がり、世界を繋げ、その繋がりで――――――、
世界を壊す。
クレアのすることだった。
いや、したことだったのだ。
彼女―――ルールフォータスは目撃した。
身体を蝕むモノが脳に達する直前に、世界が壊れた光景を。
空白―――になった。
世界が壊れ―――――――――――――――――――――――、クレアは死んだ。