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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
26/50

「世間一般」ってただの人間の意見の平均値だよね、いまいち私には理解できない。

《分誠の網膜》


 『分誠の網膜パーディレティノイド


―――魔眼の遺物として扱われる存在。『網膜・瞳孔・水晶体・角膜・硝子体』の五つの部位に分けられる。五つで本来一つの魔眼。


魔眼としての能力を五分割した存在共。


目の構造は説明するとこうなる。


光は角膜・瞳孔・水晶体を通り硝子体を経て網膜を通過して人間の脳に認識される。


最終部位の網膜、これを彼女は所有している。


『分誠の網膜パーディレティノイド


世間一般的には―――――魔眼は存在すると公表されている。


だが、分割された魔眼の部位は違う。


『魔眼以上の危険な存在として黙秘されている』


魔眼は生まれながらに持つ先天性コンジェニテイルな代物。


しかし―――一方、


部位は生まれながらには持てず後天性アスクイレッドな代物。


危険性が違う。認識が違う。全く―――違う。


『喰い殺される』可能性があるのだ。部位には。


適合しない=死。


絶対的な神の方程式。しかし、部位の人間への移植は―――机上の空論である。


つまり、成功した―――なんて事例は裏にも表にも存在しないのだ。


―――存在も――――はっきりとは分からず、存在している。


そんな―――レヴェルの。


だから、一般の魔術師・魔法使いや、もぐりや裏の魔術師・魔法使いの中でも情報は黙秘、黙殺、滅殺、絶滅させられている。


ソレを、ルールフォータスは所有している。


至極当然のように自らの両目に移植している。


恐らく―――世界の破壊の為の鍵だったのだろう。


『分誠の網膜パーディレティノイド』には一つの力が宿っているといわれている。


《所有者の持つ魔力の色を赤に変える》だ。


たったこれだけ。だが、深い所にはもっと別の意味が隠されている。


どうやって赤に魔力を変えるのか。


簡単だ。安易に想像できる。


所有者の肉体を、魔力の変換機として使用する。


つまりは、所有者の魔力の生成には所有者の肉体の消費が=《イコール》で確定している。


コレを、ルールフォータスは利用した。


利用して―――肉体を捨てて―――魂だけになり――――切り離した。


三つに。


そして『赤』の魔力。


ルールフォータスは魔力を使いこなせていなかった。


神聖な――――赤。


聖域を構築するほどの純度の高い――――赤色の魔力。


ソレを彼女は聖域を創るために使い――――いや、違う。


そんなわけはない。


もっと初めにした事があったはずだ。


所詮、聖域は結果の後のお話でしかない。


本来の使用目的は―――――『世界の破壊』


ただ、それだけ。


とても、悪。


とっても、不純。


『活かせるわけがない』『能力を限界まで上昇させれるわけがない』


そんなもの、『分誠の網膜パーディレティノイド』が許可するわけがない。


矛盾―――パラドックス。


初めから―――、無理だったのだ。


だが、彼女の三度の世界の破壊は―――成功した。


なぜ。


全ての力を出さずしても、それほどの出力は出る。


それだけだ。


魔眼の部位の力。


だから、クレアには届かない。


クレアは、


クレアの目的は世界の破壊。


彼女は語る。


蝕まれ、徐々に浸食されていく彼女に、


語る。


その赤の瞳を携えて。

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