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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
12/50

「聖人」になりたいんですけどどうやったらなれるでしょうか誰か教えてください。とか書く奴は厨二だと自負している。


《聖域》


彼女、クレア=A=シュヴァリエは今、世界の根幹と繋がっている。

転送魔法で遺跡の中に入ったクレアは、ここが遺跡ではないことを知る。

「遺跡というよりは……異界…、いや、聖域かな」

世界を三度破壊したモノの一つの内部を聖域と表現していいのかは分からない。

だが、そこはとてつもなく、

「キレイ…」

だった。

純粋な魔力が満ち満ちて、膨張している。

魔力の色は赤。深紅の赤。だが、『汚れていない』

『透き通っている』。

清流。と言い表しても何もおかしくない清らかな流れ。

遺跡の中は聖域。

そして空間は莫大だった。

莫大な空間に莫大な魔力。

辺り一面大理石に似た鉱物で囲まれている。

半径一キロ以上。天井までは約一キロの間がある。

つまり、ここは地下ではない。

白銀に少し青がかかった正方形に切り取られた空間の中心にクレアは立つ。

その足元には三つの先ほどクレアが握っていた水晶が埋め込まれた棒が。

転送魔法の転送先のマーキングのためのモノ。

それらが砂状となり、辺りに霧散する。

水晶もしかり。

そして――――その粒子は華麗に正方形――立方体の内部に均等に浮遊し、

彼女の正面に集合し、

まるで単細胞生物が多細胞生物になるかの如く、

細胞性粘菌のように集合し、

一つの浮遊する周りの壁と同じ鉱物の石板となった。

「ルールフォータスの魂の概念―――『浄化制戒(スピリチュアルエデン)』これで私は…」

彼女は石板に手をかざす。

その時、一つの事実に彼女は気付く。

魔力の流れが……無い。

空間に満ち溢れていた魔力が消えている。

粒子が空間を覆ったときに吸収したのだ。

ならば、この石板には未知量の魔力がこもっているということになる。

クレアは知る。

この魔力の根源の正体を。

この石板の意味を。

この石板に封印されている魔法陣を。

彼らの存在を。


知る。


「あらぁ、あなたは誰かしらぁ?もしかしてあたしの子孫かなぁ?」


背後から何の前触れもなく声がした。

女の声。少女だといわれても目を瞑っていれば同意してしまうような甘ったるい声。

しかし、彼女は振り向かない。

「私はクレア。クレア=A=シュヴァリエ。あなたの子孫のテルシャ=ナオ=フリーフィは転移魔法の解除に失敗して肉片となったッ!それで、あなたは、


        ルールフォータス


は今更何のためにそこにいるの?


『魔力の残流』のあなたでは私のしようとすることは止めることは出来ない筈。


 」

『「あたしの子孫は意外に無能なようなのねぇ。


そうねぇ、いや、そうだわぁ。でも、忠告くらいは出来ると思うのぉ。教えてあげる。


その石板は、あなたが思っているような能力は、



                    『ない』

の。


世界なんて壊せない。そんなことは出来やしないのぉ。




A×××の末裔さん」』

ルールフォータスの声色はとても気味が悪い。

ところどころが切れていて、

聞き取りにくく、

魔力を使って発声しているのか、頭の中にと、耳からと両方で認識しなければならない。

頭の中に響く声。空気を振動させて耳の鼓膜を震わす声。

そして、思いもよらない解答。

「まー、当然ここに来たという事は私の目的はばれていたという事だねーッ!だけど、ならば、この石板は何のために


   『存在』


しているの?見たところ膨大な魔力がひしめいているようだけど」


『「ああ、それは只の回線なのぉ。いや、違ったっけぇ。いや、そうだったわぁ。


 ごめんなさいねぇ。ここに生き物が入ってきたのがいつぶりか分からなくて、


 色々と忘れちゃってるのぉ。

                   彼女は元気だったぁ?

  エウアは?


」』

イチイチ癇に障る奴だ。とクレアは思う。

だがこうも思う。

こいつは私の知らないことを知っている。

おそらく、『世界』も。

「エウアは……どうでもいい。それより、回線って何ッ?」

『「正真正銘のソレは回線よぉ。さっきから要領を得ない質問ばっかしてくるわねぇ。


   恢這の如人にしては少し無知すぎるんじゃないかしらぁ。


 それを使うのは勝手だけど、彼らが黙っちゃいないと思うわよぉ」』


「…ん?彼ら?―――ッ!?」

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