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名の無い彼と名無しの彼女  作者: 水口 秋
第一章、皆様に安らぎを。
11/50

「デオキシリボ核酸」の略はDNA。でも日本語訳ならDRK。英語なら――

《崩壊スル世界》


防御魔方陣は連鎖式の魔法陣だった。


魔方陣は三つの要素で構成されている。


そしてその三つ目。


『三つ目は陣を打破しようとする相手を破壊する陣』


それが魔法陣に組み込まれていた。


組み込まれているというよりかは、もう一つの存在として裏で独立していたのだ。


ナオが表と表現できる大きい印象を与える連鎖式魔法陣に神経を集中させて破壊したところで、


裏で独立していた魔法陣が発動。


それは相手を破壊する魔方陣であり、


対象はナオ。


おそらく力の根源は入り口に立つ二体の像。


あの二つの存在から魔力が陣に注がれて―――ナオに魔法が発動した。


そして、その裏の魔法陣も連鎖式だった。


いうなれば多重型魔法陣。


開けて仰天パンドラの箱。


箱の最後には何が残っているのか分からないけど、辿り着く前に死んじゃいますよ。


というわけだ。


「これに気付けなかったナオはルールフォータスのような魔女にはなれなかったわけね」


彼女――クレアは先ほどまでナオが触れていた水晶に触れている。


水晶―――コレは魔水晶という代物だが、こういった類のモノには一つのルールが存在する。


ソレは、『必ず再生』するというルール。


どんなに粉砕されたって、致命的な傷が入ったって、再生する。


だから、先ほど二分された水晶も全く元通りになり、同じ輝きを放っている。


そして、ソレをクレアが握る。


表情は無い、無表情。


「ねぇ、ナオ。ナオがもし私に付いて来てくれなかったら私はどうやってこの魔法陣を突破するつもりだったと思おう?」


彼女、クレアはナオに教えてもらわなくてもこの遺跡の事は知っていた。


いや、全人類が知っているといっても過言ではない。


なんせ世界を破壊した遺跡なのだから。


では、どうして今まで破られなかったのか?


血縁にしか存在しないキーアイテムが必要だったからだ。


つまり、それは血統。


血、もしくはDNAがルールフォータスと合致していないといけないからだ。


今まで幾度と稀代の魔法使いと謳われる者が挑んだが、一人も突破することはなかった。


血統が違うからだ。


そして、彼女――クレアはその資格を手に入れた。


血統を。


そして永遠に失われるはずだった、……も。


口に無作為的に入った脳味噌の破片。


これから全てが開けた。


では、このような偶然が重ならなかったら彼女は、クレアはどうやって突破しようとしたのか。


それは…、


「それはね、この遺跡の魔法陣に同化して裏から壊そうとしてたの。けど、それは間違いだったね。『裏』にも仕掛けられていたんだよね、魔法陣。だったら『裏』の『裏』をかかなきゃいけなかったんだよねッ」


けど、もうその必要はない。


これで資格は手にした。


この魔法陣に挑戦するという資格が。


なら、後は、


「後はこっちのモノッ!だねッ!」


ヴンッ!


と、赤の魔法陣が先ほどと同じく出現する。


だが、それが先ほどの三倍、四倍に膨れ上がる。


そして、百倍ほどに膨れ上がって辺り一面を包む。


当然、クレアも。


ジジジィと魔力の流れによって鈍い音がして、その場からクレアともども魔法陣が消えた。


彼女がしたこと。


ただ、魔法陣を自らの魔力でひっかいただけ。


当然の如く、対人用発動。


ソレを魔法で捻じ込んで、完了。


魔水晶に込められた魔法、転移魔法トランスフォーメイションの発動だった。


そして、遺跡には悪意が孕まれていた。


この世界の崩壊は、



              


                 『彼女の手のう』ちだった。

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