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資産家独居老人の道楽〜次は誰?〜

資産家独居老人の道楽13

掲載日:2026/10/28

剛田甚左衛門はザエモン辺境伯領の領主の館にやっと到着した。

それは大きな壁に囲まれた広大な敷地で正門をくぐると館までかなりの距離を馬車で移動してやっと館前の広場にたどり着く規模であった。

屋敷の裏には広大な森林が広がっていた。


「エルミンよ、ここは無駄に広いのう」


「ザエモンさま辺境伯領主の館としては小さい方だと思いますよ」


「そうかのう?」


館の入り口には50人ほどが並んでいる。


剛田甚左衛門とエルミン・キルヒアイス他従者と護衛25人は館の入り口へと向かった。


「ようこそ!おかえりなさいませ!辺境伯!」


全員が敬礼の姿勢をとって出迎えた。


「私が代々辺境伯の執事をしておりますセバスです。どうかお見知りおきを」


「そうかご苦労じゃのう」


セバスは剛田甚左衛門を館へと案内した。


館は玄関から非常に広く3階まで吹き抜けのエントランスであった。


「これは掃除が大変じゃのう」


正面には2つの円を描いた階段があり2階へと続いていた。


色調はすべて白で統一されている。


「居室へご案内します」


セバスの後を進むと、1階の右の奥の部屋が居室とのことだ。中へ入るととても広い。家族で楽々住める広さである。


「入浴の準備が出来ておりますので、先ずは旅の疲れをお取りください」


すると3人のメイドが現れてワシの服を脱がし始めた。


そして入浴である。


剛田甚左衛門は洗われていた。


「これも悪くはないのう」


そして湯船に浸かる。


「湯加減はいかがですか?」


メイドの1人が聞いてくる。


「ちょうど良いのじゃ」


そして風呂を上がると3人がかりでタオルドライされて、バスローブを着せられて、紅茶が用意された。


そんな具合で「夕食の準備が整いました」と言われると、ワイシャツを着せられてズボンをはかされて靴を用意されて食堂に案内された。


料理は実に美味しかったが微妙に落ち着かない気分の剛田甚左衛門であった。


寝る前に全身のマッサージを受けて寝巻きに着替えさせられて、ふかふかのベッドに入った。


しかし…寝ようとしても館の人の動く気配が多すぎて寝落ち出来ない剛田甚左衛門であった。


そんな1週間が過ぎた頃に剛田甚左衛門はセバスに命じた。


「館の裏にこういう建物を建てて欲しいのじゃ」


「ほほう、これは何に使うのでしょうか?」


セバスは怪訝そうに聞いた。


「ワシの本宅にするつもりじゃ」


「なんと!」


「まあ、何でもよいセバスよ初仕事じゃ。1日も早く完成させて欲しいのじゃ」


「そこまでおっしゃられるなら、謹んでお受けいたします」


1か月ほどで剛田甚左衛門の本宅は完成した。


「うむ、このくらいがちょうどよいのう」


館とは秘密の通路で繋がっているのたが、剛田甚左衛門は久しぶりに快眠することが出来たのであった。


「セバスよこの領地に木こりと大工はどのくらいおるかの?」


「この辺境伯領は森林と農地が主な土地ですので、かなりの数がいると思われますが…。」


「よい、木こりを100人集めてくれ」


「かしこまりました」


翌日館の裏の剛田甚左衛門本宅の前に木こり100人が集められた。


「皆良く集まってくれたのじゃ、今からこの森の木を盛大に伐採して平地を作りたいので協力してくれ、ひとまず木はワシが伐採するので、その木を建材用や燃料用に分けて、切り株を抜いてほしいのじゃが頼めるかの?」


「あっしらは木を切らなくてよろしいのですか?」


「今は構わん。あとで少し切ってもらうかも…知れんがのう」


剛田甚左衛門は左腕の義手を外し高周波ブレードに氣を通した。ブレードが光になり伸びる。


「このくらいかのう?」


剛田甚左衛門が左腕を水平に右に振ると、一陣の風が吹いた用に感じられた。

木こりが不思議そうな顔をして聞いた。

「辺境伯?何をされたのですか?」


「まあ見ておれ」


剛田甚左衛門が手前の木を手のひらで押すと、放射線上に広がるドミノ倒しのように数え切れない木が倒れて行った。


「……………」


木こり達は黙っていた。そしてその中の1人がぼそりと言った。


「ふつうに切ったほうが後始末が楽なのに……。」


「なんか言ったかのう」


「なんでもありません!」


そして剛田甚左衛門は後は任せたと言い残してその場を去って言った。


残されたのは木こり達のため息だけであった。


セバスに案内されて剛田甚左衛門は館の地下にある地下牢の見学に来た。


異様な臭いである。


「これはたまらんのう」


「この囚人たちは大変な悪人揃いでそろそろ刑を決めなければなりません」


「刑のお…。こうしてはどうかの?」


「どのように?」


「まあ見ておれ、クリエイティブワールド!!」


剛田甚左衛門が声に出すと個室だった牢が1つになりその中に南国のビーチが現れた!!

これは世界を創造する大魔法であった。


「クリエイティブホットスプリング!!」


これも創造魔法の1つ。

そして1角に源泉かけ流しの温泉が現れた。


「ジャッジメントシャーク!」


その剛田甚左衛門の声では何も起きなかった。


男性牢と女性牢をビーチに変えた剛田甚左衛門は、特別収監されている容疑者も男女それぞれのビーチに送り込んだ。


それから1週間後に剛田甚左衛門は地下牢の様子を見に行った。セバスもエルミン・キルヒアイスも同行していた。

ビーチで遊ぶ囚人の姿は無く砂浜で全員が怯えていた。


「いい頃合いじゃったのう」


剛田甚左衛門は牢の鍵を開けさせて中へと入る。

すると海から大きなサメが現れてこう言った。


「お待ちしておりました。ご主人さま」


「で、どうなのじゃ?」


「はい、あちらの10人は冤罪、まあ無罪ですね」


「そうか、衛兵を呼んでこの10人に充分な食事と寝床を与えるように伝えてくれ」


剛田甚左衛門は即決である。


「ご主人さま、この男は微罪です」


「うむ」


「この男は有罪ですね、反省もしていません」


「罪状は?」


「強盗及び殺人です」


「うむ」


「ご主人さま…この男は極悪人です。女の子ども20人以上を自身の趣味趣向で殺しています」


「うむ」


「はてさて、あの男は実はわかりません、海にも温泉にもはいらないので」


「そうか待っておれ」


剛田甚左衛門はその男の髪をつかむと海へと放り投げた。そして剛田甚左衛門は海に入りその男の頭を海中へと押し込んだ。


「ご主人、もうわかりました。大丈夫です」


「そうかのう」


剛田甚左衛門はその男の足を引っ張って砂浜に上がって来た。


「ご主人さま、よろしいですか?」


「いうのじゃ」


「はい、その男は国王に命じられ前辺境伯の家族をすべて暗殺しております」


「きな臭い話じゃのう」


「後は、ご主人様は悪魔的な神域に至っております。この世界の特異点でしょう。この世界で最も数多く人を殺された方でございます」


「うむ、薄々気が付いておるのじゃ」


そんなことがあった1か月後には本宅の前の森林が更地になっていた。そして大工が集められていた。


「皆良く集まってくれたのじゃ。この地に住宅街や商店街を作ってほしいのじゃ」


「領主さま…。この広さだと4000から5000人は暮らせる街ができるのですが?よろしいですか?」


「構わん。納期はどのくらいじゃ?」


「この100人以上集めてよろしければ、半年後には」


「それでやるのじゃ」


こうして謎の街プロジェクトが開始された。


剛田甚左衛門はと言うと剛田、執務官、エルミンの3人を連れて領地を馬で走っていた。


ところどころ止まると。


「クリエイトウォール!」


と剛田甚左衛門は叫んでいた。


大地から地面が盛り上がり圧縮されて炎でじっくりと焼かれていた。その作業を半年間繰り返してザエモン辺境伯領の外周全体を高い壁で囲んだのであった。


再び館の裏の本宅に久しぶりに戻ると街が出来ていた。


「うむ、素晴らしいのう」


建設総監督が報告に来た。


「建設計画の98%は完成しております」


「頼みがあるのじゃかのう?何か所かに温泉を入浴施設を作ってほしいのじゃ」


「今からですか?」


「温泉はワシが掘るから上モノを頼みたいのじゃ」


こうして建設可能な場所を4カ所決めると、剛田甚左衛門はその場所へ行き。


「クリエイトホットスプリング!!」


と叫んだ。すると大地に穴があき湯がどんどん溢れて大地を流れて街の水路に注がれて行った。


建設総監督は「なんでもありだなあ」とボヤいていた。


それから程なくして街は完成した。


尚並行して領内のあちこちに温泉が掘られて入浴施設が開設していた。


----ゴウダ・ジン・ザエモン辺境伯より領民へ告げる。本日より辺境伯は奴隷開放令を発布する。奴隷を所持、所有するものは役場に奴隷を提出し、適切な金額を請求し受け取る権利があるものとする。ただし異常に高額な請求をする者、奴隷を隠す者は厳罰に処するので気をつけられたし----


この奴隷開放令は領民に大きなショックを与えた。

素直に奴隷を領主に引き渡す領民もいれば、隠す領民も現れた。

そして各地に作られた入浴施設にはジャッジメントシャークが配備されて、奴隷隠しはあっという間に明らかになり、厳罰に処される者が多く現れた。


剛田甚左衛門本宅の前の街には次々と元奴隷が集まっていた。総数で4000人前後になると言う予想であった。


数カ月元奴隷達が落ち着いて暮らしを取り戻し始めると、剛田甚左衛門は元奴隷で頭角を現したリーダー80人を集めて提案した。


「実はのう、この辺境伯…国は奴隷経済で成り立っていたと言うても過言ではないのじゃ。ワシは奴隷制度自体に反対の立場なのじゃが、社会には労働力が必要じゃ。それでの人材派遣会社を作って登録したものには仕事を紹介したいのじゃがどうかの?もちろん賃金は発生するぞ」


リーダー達は口を揃えて異議なしと言った。


問題があればすぐに対応することと、領内の法整備が整えられた。


その頃2つの問題が同時進行で進んでいたのであった。1つ目は国王がザエモン辺境伯の反乱を危惧しているという情報が伝わって来たこと。

2つ目はカブアと言う地でスパルタンという剣闘士による大反乱の後に奴隷戦争と呼ばれる大きな戦いの勃発であった。


剛田甚左衛門は単身空を飛んでいた。最高出力である。

馬車で1か月かけた王都から辺境伯までの道のりを30分でたどり着こうとしていた。


「素直に国王がワシを受け入れるとは思えんがのう」


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