『正直者の息子と草刈りと速記』
掲載日:2026/05/01
あるところに、正直者の息子がいました。正直者というのはいい言い方で、少し抜けていると言えば言えないこともないような感じでした。
あるとき、父親が、山へ行って、草を刈ってこいと言うので、正直者の息子は、鎌を持って山に入り、あっという間に草を刈り終えました。父親は、息子が家でごろごろしているのを見て、草を刈ってこいと言ったのに、と文句を言うと、息子は、もう刈った、と答える。父親が、草はどこだ、と尋ねると、息子は、草は山だ、と答える。父親が、草を刈ったら持って帰らないと、ヤギのえさにはならないぞ、と言うと、息子は、だったら、ヤギのえさにするから草を刈って持って帰れ、と言ってくれないと困る、と言い返した。
父親が、試しに、この息子に朗読してやって、速記を書かせてみると、息子は書き終えたあと、何日たっても、反訳をしなかったという。
教訓:御飯を炊くのは食べるため、布団を干すのは寝るため。速記を書いたら反訳までしないと、何日もたったら、読めなくなってしまう。




