2話
受け付け嬢「いい加減お帰りください」
1500人収容のセミナー会場エントランスで警備員と受け付け嬢に囲まれる田仲。
田仲「なんでだよ。パスポートを持っているじゃないか!!」
周りに人がたくさんいようがお構い無しに大声で怒鳴る田仲。
受け付け嬢「たしかに川口先生が新人講演家の時に発行した❮成功するまでセミナーに通える無期限パスポート❯ですがこうも毎回来られては講演の質を疑われます」
田仲「関係ねぇよ。10年以上前に1万を払って買ったんだ。文句ねぇだろ!!」
受け付け嬢「何度も通うあなたを見て周りの方が本当に成功するのかって疑問にみんな思います」
田仲「俺を何度も見るってことはそいつらも何回も通ってて成功してないんだ。なら、そいつらの方を入場規制しろ!!」
受け付け嬢「その方達はきちんと何十万、何百万とセミナー料金を払われています」
田仲「俺もパスポートがあるだろうが。KTに会わせろ!!」
コーヒーを片手にモニターで田仲の様子を見る川口先生。
川口「KT?なんのことだね」
川口秘書「ちまたで騒がれている都市伝説の成功哲学の王KTの事だと思います。世界長者番付5人を生み出した神と崇められた人物です」
川口「あぁ、たしかに10年ほど前に彼らは私のセミナーに来ていたな。ふふふ、川口ティーチャーでKTかあ。私は都市伝説と影で言われているのか。悪い気はしない」
川口秘書「田仲という参加者はどうします?」
川口「今すぐつまみ出せ」
川口秘書「承知致しました」
成功哲学と自己啓発セミナーの講師川口に人を成長させれる力は少しもない。当たり障りのない話しか出来ない川口だが田仲が毎回エントランスで暴れることでそれを見た参加者が「田仲みたいになりたくない」と世界長者番付の5人までとはいかないがある程度の大成功を収めることでセミナーの評判は毎年上がっていった。
10年前、世界長者番付の5人は金儲けの才能やアイデアこそあれ行動力に欠けていた。当時ぐうたらな5人はライバーJOYの薦めでセミナーに参加するも少しでも楽しようと川口のセミナーの時はメモを取らずに、川口の話をまんま話すJOYのLIVEを帰ったあとで家でポテチを頬張りながら見ていた。
そのセミナー帰りのLIVEでフィルターが外れたJOYを見て行動しなければいつかああなるのかと今の地位まで上りつめた。
時間になりスポットライトを浴びド派手な演出と共に会場の壇上に現れる川口。
川口「私が世界長者番付達に成功メンタルを授けたKTこと川口ティーチャーです」
ウオオァ!!!!!!
会場は田仲を見て行動したくて仕方なく、ものすごい気合いの入りようで1500人とは思えない大盛上がりを見せる。
松方「KT待ってました!!!」
一番後ろの最安値の席でモニターに映る川口を見て周りの熱量に圧倒されながら大声で叫ぶ松方。
田仲「みんな大声なんか張っちゃって。これだからセミナー素人は。まあ初めての人もいるから仕方ないかあ」
本来は300万以上する一番前の中央の席でパスポートを使ってタダで入り腕を組んで参加者でありながら一番偉そうな田仲。
川口「げっ!!なぜあいつが?」




