第95話 1537年 7歳 よし、里見氏に会うぞ。
前回、ついにヒロインが登場しました。
――しかし、再登場までは少し間が空きます。
物語の歯車が噛み合うまで、もうしばらくお付き合いください。
甲板では雷蔵がセルパに日本語を教えている。
雷蔵は誰にでも親切なので、全兵士から好かれているのだ。
現在、千葉沖合およそ十キロ。
その時――
カン、カン、カン。
甲高い警戒音。
見張り
「敵襲、敵襲!」
我々の西洋帆船十隻に対し、小型舟十隻。
あからさまな海賊舟である。
これだけ怪しければ即警戒する。相当なおマヌケ連中だ。
俺
「まず弓を撃っていけ。手の空いている者は火矢の準備!」
見張り
「二隻の弁才舟が来ました! 旗を掲げています!
――あれは里見氏の舟です!」
里見の舟は海賊舟に次々と乗り移り、白兵戦を仕掛ける。
あっという間に海賊舟は駆逐された。
里見の兵士
「長尾家の皆様、お怪我はござらんか。
よかったら水や食料を補給するので港に寄りませんか?」
俺は見張りに港へ寄るよう指示する。
我々は館山港に寄港した。
<富山城への招き>
里見の兵士
「長尾家の皆様とお見受けする。
富山城に領主・里見義堯がおりまする。
もしよろしければ、長尾家の皆様を歓待したいと申しております」
俺
「わかりました。挨拶に伺うと伝えて下さい」
里見氏の兵士は馬を三十頭連れてきた。
里見の兵士
「よろしかったら乗られて下さい」
――親切すぎる。
怪しさを感じた。
俺は赤目に全周偵察を命じ、兵士にも戦闘準備をさせる。
やがて赤目が戻る。
赤目
「富山城は歓待の準備のみ。兵は見張り程度。
戦闘態勢は取っておりません」
良かった。
俺は富山城へ向け、親衛隊五十名を連れて出発する。
三十分ほどで富山城に到着。
普通に客間へ案内される。
目の前には――
領主・里見義堯。
<取引>
里見義堯
「わざわざご足労頂き、痛み入る」
俺
「つまらない物ですが、お納め下さい」
越乃柿酒と蝦夷地の商品。
急な訪問なので少量だ。
里見義堯
「実は我々は北条に攻められておる。
だが武器が不足していてな。
そこで――長尾家の武器を売ってはもらえぬか。
代価は米で払うことになるが、構わぬか?」
俺
「予備で二百ほどある。それを送りましょう」
将来、北条とは戦うことになる。
ならば里見を援助するのは悪くない。
里見義堯
「もしよろしければ、舟に残っている方々も招いて宴会を致そう」
俺は水斗に命じる。
俺
「兵は舟に三百残して護衛。
それ以外は富山城へ来い」
宴会が始まった。
祖父・長尾為景が、
里見義堯と酒の飲み比べをしている。
――老人同士、妙に楽しそうだ。
<翌朝>
次の日。
里見義堯
「もしよろしければ、今後も定期的に武器を売って欲しい。
さらに同盟もして頂けると助かる」
俺
「武器を毎年売るのは構いません。
しかし同盟となると、すぐには返事が出来かねます」
同盟の契約は――
来年以降の話となった。
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